【前田健志】令和時代に協会ビジネスで成功する人の条件

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『一般社団法人協会ビジネス推進機構代表理事』前田健志さんとは?

【前田健志(まえだたけし)さんプロフィール】

一般社団法人協会ビジネス推進機構 代表理事

神戸大学法学部卒業後、東証一部上場企業にて、コンプライアンス教育の運営責任者として、国内外のべ2万人以上への研修を企画・実施。

その後、協会ビジネス推進機構の代表理事として、200協会以上の設立・運営を支援。年商1億円を超える協会を24協会、年商3000万を超える協会を70協会以上生み出す。

現在は、日本で唯一の協会ビジネス指導専門のコミュニティを運営。これまでに2400人超の代表理事、経営者や起業家へのコンサルティングを実施。育成支援をした協会の認定講師数は、のべ8万4700人に及ぶ。

協会ビジネスを通じて、素晴らしい学びを提供できる人々のメソッドを、全国各地に広げる道筋を提供し、学びによって人生が変わる人であふれる社会の実現を目指している。妻と息子、娘の4人家族。和歌山県和歌山市出身

【公式HP】協会ビジネス推進機構公式HP


協会ビジネスの10年間の歴史とは?

小林 : こんにちは、小林正弥です。専門家インタビューということで、今回は一般社団法人協会ビジネス推進機構代表理事の前田健志さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。

前田 : よろしくお願いします。

小林 : 協会ビジネスという言葉を、誰もが知る言葉まで認知させて広めていったのが前田さんたちだと思いますが、まず協会ビジネスの10年間の歴史を教えてください。

前田 : 協会ビジネスという言葉が生まれたのは2008年ぐらいで、今ちょうど10年少し過ぎたぐらいになります。もともとお茶やお花の世界にある「家元制度」と言われる仕組みを少しアレンジして、いきなり先生をつくる「新・家元制度」というビジネスモデルがあります。

それを、お茶やお花以外のホビーやビジネスのジャンルにも提供できる形に切り替えてつくっていったのが、協会ビジネスになります。2008年からスタートして、最初は著名な方や、有力な経営者の方たちがどんどんこの協会を立ち上げてやり始めて、というのが最初でした。今は一般の主婦の方が起業して、ビジネスが軌道に乗った段階でこの協会をつくり、たくさんの講師を育てるという形で広げるところまで来ています。いろいろ時代が変わっている中で、協会の存在意義がどんどん変わってきている、ちょうど過渡期かなという感じです。

小林 : 健志さんが代表理事に就任されて、どれぐらいになりますか。

前田 : 今4年目に入ったところです。もともとこの協会ビジネスは、私の父である前田出がつくり上げたビジネスモデルですが、父親が第一線を退いて、私が引き継いでお伝えしています。

小林 : 先代がつくってきたものを受け継いで進化させるところのご苦労や、いろんな取り組みもあると思いますので、それも後ほど伺いたいと思います。今までの10年間で、いろんな協会ビジネスが立ち上がってきたと思いますが、のべどれぐらいの数を支援されてきましたか。

前田 : 300協会弱ぐらいです。実際にたくさんの協会が立ち上がっていますが、私たちが支援している以外でも、この本を見て立ち上げられた方もたくさんいらっしゃるので、2008年頃から協会というものがたくさん生まれてきている状態です。

ただ、協会ビジネスは難しいところがあるので、学んだけど自分には向かないとか、自分のビジネスモデルではやりたくないなとか、メリット、デメリットがあるので、やらない方もいらっしゃいます。たくさんの方を支援させていただいてますが、大体300協会立ち上がってきました。

1000人を超える人々が取り組んだ協会ビジネス成功事例

小林 : 協会として立ち上がったのが300だけど、準備とかいろんな取り組みをされた方は何千人、本を読んだ方も含めたら相当な数になってますよね。今までこの10年で、うまくいった協会ビジネスの事例を教えてください。

前田 : うまくいくという定義によって違ってくると思いますが、単純に売り上げが上がっているところもあれば、講師の方がたくさんいらっしゃるところもあるし、それが継続しているところもあります。規模という、たくさんの講師を育てているところでいうと、日本サロネーゼ協会さんがあります。もともと料理教室を運営されている主婦の方でしたが、アイシングクッキーは知ってますか。

小林 : すみません、分からないです。

前田 : クッキーの上に砂糖で絵を描くというおしゃれなクッキーがありますが、そういうアイシングクッキーを教える先生をつくるということからスタートしている協会さんです。3年ぐらいで5000人の先生をつくって、今1万人ぐらいの先生がいて、日本だけではなくアジアにも展開して、中国、台湾、シンガポールにも法人を設立されています。

小林 : たった1人の主婦の方が思いついたアイシングクッキーが、いまや国を越えて1万人も育てているってすごいですね。

前田 : 最初はアイシングクッキーだけだったのが、和菓子や食パンのコンテンツもどんどん広がって、たくさんの講師がいろんなコンテンツを学んで、世界で活躍されています。

お金では無く、共感で繋がる協会の作り方

小林 : 1万人に爆発的に増えた成功要因は、健志さんから見ると何になりますか。

前田 : 協会というのは、通常の会社と違って雇用形態がないんです。1万人という人がいたときに、その1万人を雇用しているわけではありません。雇用契約を結び給料を払っていくのが、従来の組織の形だったと思いますが、協会は基本的に雇用する人がほとんどいません。

1万人の人たちとどういう関係でつながっているかというと、雇用契約という厳しいものではなくて、あくまで協会がこんな世の中をつくりたい、たくさんの人にこれを届けたいという思いに共感している人が集まっているというのが、協会の面白いところです。
小林 : お金の関係ではなくて、共感で結ばれている。

前田 : そこを生み出すために何をやらなければいけないかというと、協会はどんな世の中をつくりたいのか、誰を幸せにしたいのかということを、声高に語らなければいけない。これが協会ビジネスの面白いところでもあり、難しいところでもあります。

理念に共感する仲間を集めるという形を取っていかないと、うまくいきません。例えばお金を稼ぎたいと思ってきた人たちがたくさんいる協会はどうなるかというと、ほぼみんなやめます。ノウハウだけを盗んで、独立していってしまいます。

そうすると、ライバルばかりが生まれていって、自分の持っていた市場が食い荒らされる状態になっていく。ここの集め方や指導の仕方がすごく大事です。

協会をつくるときに、まず何をやらなければいけないかというと、協会を通じて10年後、30年後、どんな世の中をつくりたいのか、どんな人たちを幸せにしたいのかという、大きな理念の部分を最初に固めて、それを発信していくことが大事になります。

小林 : アイシングクッキーを設立した代表の方は、最初からそういうものを持っていたんですか。

前田 : 代表の桔梗さんという方は、本当に熱い思いを持っています。もともと料理系の会社で働いていましたが、出産、子育てを経て、思うように働けない環境になってしまった。自分と同じように思うように働けない人たちのために、働ける場所を提供したいということをずっと考えていました。

アイシングクッキーの先生になれば、出産や子育てと仕事を両立させながら、普通の主婦が1人の主役として活躍できる場所をつくっていけるだろうと。女性の社会進出や活躍推進をずっと考えていて、それを体現するための組織としてこの協会があるんだという作り方をしています。

年商1億を超えるビジネス展開の事例

小林 : アイシングクッキーの講師並みに、熱く語ってますが(笑)それを指導されたのが、健志さんたちですよね。他にはどんな事例がありますか。

前田 : ジャンル問わずいろいろあって、今のものづくり系でいくと、動物占いは知ってますか。

小林 : 動物占いは知っています。

前田 : 10年ぐらい前にちょっと流行りましたよね。

小林 : 僕は、ペガサスです。

前田 : そんな感じがしますね。

小林 : どんな感じか分からないですが(笑)

前田 : 自由な感じのペガサスですがあれはもともとのベースは、個性心理学という統計学なんです。その統計学を活用して、コミュニケーションを円滑にするという協会がありまして。そこの協会はもともと動物占いというキラーコンテンツを持っていましたが、占いで止まってしまっていたんです。

なかなかビジネスにならない状態だったものを、協会という形に切り替えて、コミュニケーションを円滑にするために、例えば家庭にどう入れるか、職場にどう入れるかという形のビジネスツールに置き換えて展開するというやり方をとっています。

今、子育てに特化したものとか、女性の活躍に特化したものとか、協会を分化させて三つのパターンでやっていますが、年商何億という形であげています。システムやストックビジネスをうまくつくって、ビジネスを展開しています。

男性が協会ビジネスを成功させるポイント

小林 : 収益のモデルは、どういうふうになっていますか。

前田 : 協会によって全然違いますが、王道のパターンとしては、協会の講師の人たちの会費がまず一つあります。さっきのサロネーゼ協会さんでいくと、1万人の講師の人たちが年会費3000円で、それだけで年間3000万の売り上げが入ってきます。

クラフト系でいくと、教材があります。ものを作るときに、その材料を協会から仕入れるという形にして、押し花やビーズという教材がメインの収益源になっていて、この教材だけで何億という売り上げを上げています。

あとは講師の人たちが、講座やコンサルティングやカウンセリングをやったときのロイヤリティという形でコンテンツを使っていいですよ、その代わりコンテンツの使用料として何パーセントを協会に支払ってくださいという形で取っているものもあります。あとは協会側が講師を養成するときの、講師養成の収益が入ってくるという形もあります。

小林 : 聞いてると、サロネーゼ協会にしても、動物占いにしても、女性が活躍している印象がありますが、男性が活躍している事例もありますか。

前田 : シェア・ブレイン・ビジネス・スクールさんというところで、ビジネスモデルデザイナー、ビジネスモデルを作れる人を作るというのを協会としてやっているところがあります。そこの講師の人たちは98パーセントが男性、来られているのは士業の方や、経営コンサルタントをやっている方や、MBAホルダーだったり。

そういう方が先生として来られて、その人たちが企業さんや個人事業主に対して経営コンサルティングをしていくという協会です。ここは男性ばかりですが、うまくコミュニティーをつくって回しています。

小林 : 男性は群れなくて一匹狼系だと思いますが、男性で協会ビジネスをつくっていくポイントはありますか。

前田 : 男性のほうが計算高いところがあって、コミュニティをつくるというよりも、自分の利益はどうなるのか、自分はどういうポジションを取れるのかを気にする人たちが多いと思います。

そういう人たちが多いからこそ余計に、さっきの理念の部分だったり、こういう世の中をつくっていきたいという部分に共感する人を一生懸命集めていく。横のつながりがあることによって、よりあなたのポジションが上がっていく、ビジネスがうまくいくという組織づくり、コミュニティづくりというのが、すごくポイントになってくるかと思います。

協会ビジネスに向いてる人、向いてない人

小林 : 次に、協会ビジネスに向いてる人、向いてない人について教えてください。向いてないというより、こういう条件が揃っている人であれば、協会ビジネス化するのがおすすめですよという、協会ビジネスをスタートするときの条件があれば教えてください。

前田 : 協会ビジネスは、一番似ているビジネスモデルでいうと、フランチャイズなんですね。マクドナルドとかローソンとか、いっぱいありますが、その様な分野の人たちの教育コンテンツ版みたいなイメージです。マクドナルドの1号店が売れてなかったら、フランチャイズ展開しないですよね。マクドナルドが、「私、どんなハンバーガーを作ればいいか、よく分かりません」とか、「売れ筋商品ないんですけど、フランチャイズ展開します」と言っても、加盟したいという人は来ないと思います。

それと同じように協会も自分のコンテンツをまずしっかりやる。そこに対して一定数のお客さんがついているというか、ファンが見込めるという状態がまずないと、協会を展開していくのは難しいです。向いてる人という点でいうと、展開するときに何をやらなければいけないかというと、一流シェフみたいな人は要りません。

例えばマクドナルドの東京店があって、そこに行くと超一流シェフがいて、あの人のハンバーガーが食べられるから行くという状態だと広がりません。要するに東京にみんな行きたくなるから、大阪にあっても行かない。どこに行っても同じ味をつくっていくということをしていくためには、一流の人がいると、逆に邪魔だったりします。意外に、著名な方とかカリスマの方がやると、あまりうまくいきません。

小林 : ビジョンを語るというと、スティーブ・ジョブズとかカリスマ系のリーダーという印象ですが、そうじゃないんですね。

前田 : カリスマが強過ぎると、カリスマからしか話を聞きたくなくなってしまうということが一つあります。カリスマ自身も、自分がカリスマであり続けたいという人が多いですが、協会は自分の代わりに活躍する人を育てることがポイントです。カリスマであればあるほど、カリスマに慣れ切っている人は、自分以外に活躍してどんどん売れる人が出てくると、ライバル視してしまうんです。

お笑いに例えて話をすると、明石家さんまさんみたいな人は、協会に向かないです。自分が前に出たい、目立ちたいという人がどんどん出てきてしまうと、面白いやつがいるとつぶすんですね。つぶすというか、その人をネタにして自分を盛り上げる。そういうパターンに持っていってしまうので、なかなか活躍する講師が生まれてこないことがあります。

小林 : 逆にどうしたらいいんですか。

前田 : 秋元康になるということですね。プロデューサーに回る。講師の人たちが活躍する仕組みをつくり、講師をブランディングする、協会をブランディングする。協会を作るときには、自分のブランディングから徐々に移行しなければいけません。

自分のブランディングではなくて、講座自体をブランディングするとか、協会をブランディングするとか、講師をブランディングするというふうに移っていかないと。いつまでたっても自分がいないと回らないビジネスモデルになってしまうので、協会を作るときは、自分以外の人がブランディングされていくことに対して耐えられない人は、協会は向いてないです。

小林 : まず1号店は、うまくいくコンテンツを自分が講師でやって、これを協会ビジネスで広げていく場合は、いったん自分が引いて、スターを育てていくようなステージに入っていくということですかね。

前田 : そうですね。最初に売れる商品がないと始まらない。そこを飛ばしていきなり協会化という方がいて、例外的にそれでうまくいく人もいますが、基本的には自分自身がある程度ブランディングされていて、そこから始まっていくパターンにしないとうまくいかないです。

小林 : つんくさんみたいな、シャ乱Qで出たけど、プロデューサーでモーニング娘をやるみたいな。

前田 : そんな感じもいいと思います。

コミュニティの力で事業を拡大していく方法

小林 : 例外の話も聞きたいです。

前田 : これは、コミュニティをつくるのが、いかにうまい人かどうかというところによってきます。協会で理事長1人の力でがんがん頑張るのではなくて、最初から仲間を巻き込んでみんなで盛り上げていくのがうまい人は、そこからスタートしてうまくいく場合があります。コンテンツ力で売っていくというより、コミュニティの力で広げていくパターンです。コンテンツそのものが最初から強かったわけではなくて、みんなが楽しそうにやっているのが、じわじわと広がっていく。

これだけの規模でやってるから、うちでもやってみませんかという形でいってる。例えば“笑い文字普及協会”というところがありますが、ここの廣江さんという方は、もともと地方の主婦というか、軽く事業をやっていた人です。

協会をつくって笑い文字を届けていくということを、ずっとうたっていて、周りの人たちと一緒にあらゆるところで笑い文字を書いていたんですね。そうしたらじわじわと広がっていって、「笑い文字って可愛いね、いいね」という話になって、日本郵政から目をつけられた。

「うちで、はがき講座とか、郵政でやってくれませんか」と言われて、いち郵便局から始まって、どんどん広がっていったのは一つの例です。

小林 : 今、手書きではがきを書く人、減ってますもんね。

前田 : 時代の流れとか、うまく郵政をつかまえられたところはあると思います。でも、彼女自身が持っていたコンテンツが、最初からずば抜けてすごかったかというとそうではなくて、うちに来たときは、最初どうしようと思った。

どういうふうに広めていけばいいんだろう、社会的ニーズもあまり感じられないよね、どうしましょうね、という感じでした。でも彼女自身の素晴らしいところは、とにかく出会った人に徹底的に渡しまくるということを、ずっとしていたんですね。

タクシーに乗ったら、タクシーの運転手の名前を書いて渡すし、レストランに行ったら、書いて全部渡すという、地道な活動をずっとやっていて。彼女自身は感謝と喜びが循環する社会をつくるということを思いに掲げていて、そこに共感する仲間が徐々に集まってきた。その人たちが広げていって、ウェブとかではなく、本当にじわーっと広がる形で、郵政もつかまえて、今切手にもなっています。

コンテンツ力よりも重要な人間力とは

小林 :最初からパーフェクトなものができてなくても、コミュニティでコンテンツのレベルを上げて広がっていくパターンもあるんですね。

前田 : 協会をやっていて思うのは、コンテンツ力も大事ですが、人間力がすごく大事だなと感じます。企業と違うところは、雇用関係がないという話をしましたが、雇用だと人間力がなくても、お金を払っていれば来る。雇用関係がない中で居続けてもらうためには、その人に人間的な魅力がないとついてこない。

協会の理事長さんで、私たちのところにも「コンサルしてください」と来られますが、何で見るかというと、結局この人、人間力あるのかなと。コンテンツが50点でも人間力が100点だったら、うまくいくんですね。でもコンテンツ100点で人間力50点だと、結構きつい。そこが協会をやっていて面白いところだし、難しいところだとも思います。

小林 : 協会ビジネスというビジネスモデルに目がいってしまいますが、意外とそれを支えているのは、人間力とかソフトの部分。逆に言うと、そっちで勝負できるとも考えられますよね。

前田 : 時代によるところもあると思いますが、昔はコンテンツ力重視だったと思います。始まった2008年頃は、コンテンツ力をすごく重視していたし、それがないと本当に始まらないビジネスモデルでした。逆に今は、これだけコンテンツが過多になってきて、YouTubeを見れば無料でコンテンツが得られる時代になっているので、差別化なんてほとんどできない時代だなと思っていて。

何が問われるかというと、それを扱う人間だったり、そこに集まってくる人たちの魅力というところが、今の時代は求められていると思います。

協会の作り方も、昔はUSPだったり、何を差別化していきますかということで、そこだけでも売れたところはあります。今はそれだけだと売れないということと、そもそも差別化ができにくくなってきているので、人間力が大事になってきていると感じます。

小林 : それはトレーニング次第で、どうこうなるものですか。

前田 : 一定水準はなると思います。

小林 : どんな指導をされてますか。

前田 : 私たちの講座の中でやっているのは、あり方ってどうなのか。理事長としてのあり方は何かというと、プロデュースというとビジネスライクな感じがしますが、要するに、どれだけ自分以外の他者の人を本気で応援できるかどうかというところにかかってくると思います。

僕もいろんなコミュニティを見たり、参加させていただいたことがありますが、応援し合うと言って、ただのギブアンドテイクの関係が多いと思います。

協会をやっていくときに、理事長さんに求められるものはギブの精神で、コミュニティの中でギブし合うと、どんなふうに場が変わっていくのかとか、実際に講師に対して、こんなギブをしていったことによって、こんなふうに環境が変わったよ、ということをみんなでシェアしていくということを徹底的にやる。

いかに応援し合うことが大事かということを知ってもらうためのコミュニティの作り方を、指導したり実践したりしています。

小林 : 先代が立ち上げた新・家元制度のところから、時代に合わせて協会ビジネスで活躍するリーダー像とか、コミュニティの運営の仕方が変わってきているというところですかね。

健志さんも協会ビジネス推進機構の代表理事として、先代からの事業承継もある中で、ご自身のあり方とか、リーダーシップというのも、場合によっては困難もあったと思いますが、その辺りもぜひ教えて下さい。

前田さんが考える世代交代の仕組み

前田 : 協会も今2代目をつくるステージに入ってきています。初代の代表理事をつくった人たちが、時代の流れとか、その人自身のステージが変わっていくことによって、2代目をどういうふうにつくっていくのか、みんな悩まれているタイミングでもあります。

僕自身も父親がやっていたビジネスモデルを引き継いでやっているわけですが、2代目になるときに、もともといた人たちとのあつれきなど、いろんな葛藤がありました。

先代が好きで集まっている人たちをどういうふうにするかとか、ほぼ全員僕より年上の人たちがクライアントさんになってくるという状態。自分が若造だと思われる中でどうポジションをつくっていくのかとか、この辺はすごく悩みました。

協会の人たちが2代目をつくる話をしていますが、さっきのプロデューサーの話と同じで、その人自身に紐づいてるようなビジネスモデルはうまくいかないということです。協会で言ってるようなビジネスモデルというものに落としていくためには、いかに人から切り離したところでグラウンドをつくっていくか、求心力を持っていくかがすごく大事です。

先代の前田出を好きな人というのは、正直コミュニティとしては残らなくていいですと。前田出がつくり上げた協会ビジネスというものがあって、その思いをくんで、こんな世の中をつくっていきたい、そのためにまた新しく協会ビジネスというコミュニティだったり、組織というものをつくっているんだと話をしてきました。

ここまで来るのに3年くらいその話をしてきて、徐々にその思いに共感する人たちだけが残るような仕組みに切り替えていくということを、時間かけてやってきました。

小林 : 先代のいい部分は引き継ぎながらも、ご自身でもう一回、志やビジョンを描き直して、それに共感する人で、今ご自身のビジネスもつくられているということですね。

前田 : 協会の人たちにも、次をつくっていくときには、思いをもう一度あらためて発信しましょうと。その思いの中で、2代目になる候補の人がいるなら、その人の思いをもう一度協会の思いと合致させよう。

場合によったら、ちょっと形を変えてでも2代目に引き継いでいくときの理念に協会をどんどん変えていかないといけないですよね、という感じで皆さんには指導しています。

小林 : 先代にも、このメッセージは聞いてほしいですよね。代が変わるのであれば、早く変わってくれたほうがいいということですかね。立つ鳥跡を濁さず。

前田 : 私の父親もそこはすごいなと思いますが、完全にノータッチという状態になっています。やっぱり口出しをしたくなるところがあると思いますが、いかに潔く引くかは大事だと思います。先代の協力も大事だと思います。任せていく、これも人間力だと思います。

協会ビジネスで活躍していく為の組織づくり

小林 : 先代としても、代が変わって、さらに伸びていったらハッピーですよね。次の質問ですが、僕の勉強の鍵になる質問ですが、ゼロから最速で協会ビジネスで活躍していくには、何をどの手順でやっていけばいいんでしょうか。全体像を教えてください。

前田 : 協会をつくるときに、最初にやらなければいけないのは、協会は手段であって目的ではないというところです。

皆さんが勘違いしているのは、協会のために何をやるかとなっていますが、あくまで自分の人生をどうしたいのか、自分は何を思って生きているのか、これが一番大事です。まずは自分の成し遂げたい思いは何か、自分の志や使命は何かというところを最初に出してもらいます。そして、そこに到達していくために、協会をどう活用していくのかを考えなければいけない。

最初に自分自身が何を成し遂げたいのか、そのために協会を活用したほうがいいのかどうかを、まず考えなければいけません。自分がこういう世の中をつくりたい、こんな人たちを救いたいという部分があって、そこをかなえるために協会をどう使うのか。

自分の人生設計を先につくることが遠回りに見えますが、実は最短という話をしています。人生計画をつくり、その中で協会の立ち位置を考えるということを、やってもらいます。それをやった上で、自分の持っているものの中から、他の人でも使えるように標準化できるコンテンツは、どういうものがあるのか。

誰がつくっても同じ味というものをつくっていく作業をしていって、そこのニーズを把握した上で、それを代わりに販売してくれる人を探していく。協会で失敗するパターンは、「講師になると、お金稼げますよ」というパターンです。

小林 : 言ってしまいそうですね。

前田 : 世の中のセールスレターを見ると、「うちの講師になると、こんな収益が得られます」「うちの講師になると、こんなメリットがあります」ということが書いてある。収益を得られると思って来た人たちは、他でもっと収益が得られそうなところがあったら、どんどん離れていってしまいます。いかに自分の思いがあって、そこに共感してもらえる人を集められるかどうか、ここがポイントになってきます。

そして集めてきた人たちが動きやすい仕組みを、どんどん整えていく。それができたら、またそれを管理する上の組織をつくっていく。協会をつくるのは、1年では足りなくて、何年もやっていかなければなりません。

僕自身もいろんな協会さんをサポートさせていただいてますが、長い方は10年近い方もいます。最短と言うと難しいところもありますが、まず人生計画をつくり、標準化できるコンテンツをつくり、それに共感してくれる仲間をつくり、その人たちが活躍できる組織をつくっていく。こんな順番で進めていくといいかと思います。

様々な可能性を生み出す協会ビジネスの魅力

小林 : あらためて、なぜ協会ビジネスの代表をやっているのかという、ご自身の人生観や思いも聞かせてください。

前田 : 僕が協会ビジネスに本格的に関わったのが、自分の息子が生まれてからです。それまではお手伝い程度で、会社員をやりながら副業的に手伝うことをやっていましたが、自分の子どもが生まれたときに、あらためて何のために生きているのかを考えるようになりました。

僕自身は、子どもたちからかっこいいお父さんと思われたいというのが最初の動機で、今のこの会社にいて俺はかっこいいお父さんになれるのかと考えたら、当時の自分の会社員の仕事に対して、あまり誇りを持てていないなとか、真剣にやれていないという感覚がありました。

自分が本当に心から好きで、面白いと思える仕事をやっていく背中を見せたいと思いました。そのときに協会ビジネスという仕事を父親がやっていて、教育を通じてたくさんの人たちを救っていく、笑顔をつくっていく、そんなビジネスモデルがすごく素晴らしいなと思いました。

その素晴らしいビジネスモデルを自分もやれるようになるといいなと思って、子どもが生まれたときに、「一緒にやらせてください」と入ったのが、最初のきっかけでした。

最初は、子どもにかっこいい背中を見せたいという思いでした。でも、もっと奥深く自分の中でなぜこれをやりたいのか考えていったときに、自分の子どもたちだけではなくて、世の子どもたちにつないでいくための世の中をつくるというのが、僕が今やっていきたいことなんだなと感じました。

世の中に出ているいろんなニュースを見ていて、子どもたちが生きにくい世の中になっていくようなニュースや事件を見ると、すごく憤りを感じるし悲しくなる。自分の中で次の世代のことを考えるウェイトが大きいということに気付きました。

何のために自分は生きているのかと自問自答していったときに、これから生まれてくる子どもたちも含めて、次の世代につないでいくことが、僕らが生きている意味なのではないかと思いました。

協会ビジネスというのは、素晴らしい教育コンテンツを持っている人たちが、それを広めていく手段としてあります。世の中の人が触れることができなかった素晴らしい教育コンテンツというものが、協会というものをつくり、講師を育てていくことで、全世界に広がっていくわけです。

今までそれに触れられなかった人たちが、素晴らしいコンテンツに触れることができて、教育は人生を変える可能性がある素晴らしいものだと思っています。それを全世界に広げていくことができるのは、すごいことだと思いました。

今まで出会えなかった学びに出会えることで、たくさんの人たちの生活が変わっていく。その人たちのもとにもまた子どもたちがいて、子ども自身もそれによって変わっていくことができる。教育の持つ力は本当にすごいと思っていて、それを広げていくことが、これからの世の中をつくっていく原動力になると考えています。

もう一つ、協会ビジネスというのは、今までなかった職業を生み出していくものでもあると思っています。サロネーゼ協会さんでいうと、料理教室の先生はいたかもしれないけれど、クッキーや食パンで仕事になるなんて、誰も思わないわけです。

動物占いが仕事になるなんて、普通思わなかったわけですが、それが仕事になって、実際に活躍している人たちがどんどん生まれてきているわけです。今までは自分の好きなことや興味があることがあったとしても、世の中に仕事がなかったのでサラリーマンになるしかない、公務員になるしかなかった。

でも、協会をつくることによって、たくさんの新しい職業が生まれていって、それによってたくさんの人たちが自分の好きなことを仕事にできるような、そんな環境が生まれています。本当に自分の好きなこと、やりたいことを仕事にしている人たちは、すごく輝いているし、それを見た子どもたちも、「早く自分も働きたいな」「早く大人になりたいな」と思っているだろうなと。

やりがいを持って働く人たち、楽しく仕事をする大人がたくさん増えていくことが、次の世代につないでいくために、とても大事だと思っています。協会ビジネスというものは、僕自身がやっていきたいこととこんなふうにつながってるんだなということが分かって、協会ビジネスを広めていくことに対して、またあらためてドライブがかかっています。

協会ビジネスのコミュニティに参加するには

小林 : ご自身の生き方とやっていることが、すごくつながってるんですね。今回の話を聞いて、協会ビジネスの認識が変わった人とか、あらためて自分の教えているコンテンツを世の中に広げたいと思った方、たくさんいらっしゃると思います。まず、どこからスタートしていったらいいですか。最後に、学び方について教えてください。

前田 : 協会をつくりたい人向けには、協会ビジネス大學というスクールをやっていて、年2回募集をかけて、しっかりと協会のつくり方を学ぶ場所を提供しています。最低8ヶ月かけてじっくり学んでいただいて、継続的にその後もフォローしてます。入り口としてはその協会ビジネス大學というところで、手取り足取り教えさせていただいてます。

小林 : 講師としての健志さんは、優しいですか、スパルタ系ですか。

前田 : 両方ありますね。

小林 : それは参加してのお楽しみということですね。
前田 : 結構丁寧だとは思います。

小林 : 他の協会の代表の方々と交流ができるのは、すごくいいですね。

前田 : 協会の理事長さんのコミュニティという意味では、多分日本ではうちしかつくっていないと思います。協会ビジネスという言葉も、私たちが商標を取ってビジネスとしてやっているものなので、理事長さんのノウハウやこれまでの知見や経験がたくさんたまっていて、それが何よりの強みだと思います。

協会って、講師の人たちがいるので、一回つくるとやめられないというのがあります。失敗できない、失敗してはいけないビジネスモデルだと思っているので、そういう意味ではたくさんの失敗経験が、私たちのところにたまっています。

それをシェアできる場があるので、私たちのところでは失敗する人を生み出さない。つくって終わりの協会がいっぱいありますが、つくってからがスタートなので、そこをずっとサポートしていくためのコミュニティや組織をつくっているのは、私たちだけかなと思います。

小林 : 協会ビジネス推進機構のホームページに関しては、こちらにリンクがありますので、詳細を確認してください。今日は協会ビジネスのいろんなお話を聞かせていただきました。前田健志さん、ありがとうございました。

前田 : ありがとうございました。

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