【江上 隆夫】『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』著者に聞いた 自分を最高値でブランディングする方法

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2018年7月25日、『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』著者の江上隆夫さんと、『自分を最高値で売る方法』著者の小林正弥との専門家対談が行われました。「個人がブランディングして、自分を最高値で売るにはどうしたらよいのか」というテーマで対談をしましたので、ご覧ください。

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小林 : こんにちは、小林正弥です。僕が『自分を最高値で売る方法』を出版させていただくことになりまして、“自分を最高値で売る”というテーマで、各専門家の方にインタビューをしていきます。こちらの著書『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』は、ビジネス書としてはかなり異例の3万3000部と飛ぶように売れましたが、今回はこれを書かれたブランドの専門家の江上隆夫さんにインタビューをしていきたいと思います。江上さん、よろしくお願いします。

江上 : よろしくお願いします。

ブランド・コンサルタント江上隆夫さんとは?

小林 : まず簡単に、江上さんのことをまだ知らない方もいらっしゃると思うので、ご自身の活動について教えていただけますか?

江上 : もともと広告代理店で18年くらい広告制作をやってまして、出身はコピーライターで、クリエイティブディレクターをずっとやっていました。その後独立して、同じ広告の仕事にたずさわってましたが、途中からブランディングということで、人に教える機会がありました。もともと企業広告というものを長いことやっていたので、基本的にはブランドをつくるというものが得意だったものですから、10年くらい前からブランドコンサルタントとしても活動しています。

今はどんどんその活動を加速している最中で、それ専用の会社を去年立ち上げて、キックオフしている途中です。


【江上隆夫さんのプロフィール】

ブランド・コンサルタント/クリエイティブ・ディレクター
株式会社ディープビジョン研究所 代表取締役
有限会社ココカラ 代表取締役

長崎県五島列島の大自然の中で伸び伸びと育つも、父親の事業失敗により愛知県へ転居する。
大学卒業後、プロミュージシャンを目指したが挫折。しかし、それが幸いしてコピーライターに。その後20年近く大手広告代理店でコピーライター及びクリエイティブ・ディレクターとして、さまざまな業種の広告とブランド構築にかかわり、コンセプト力を磨く。

2005年独立後はブランド・コンサルタント、クリエイティブ・ディレクターとして、数億から50億、100億単位の広告制作やブランド運営にかかわっている。最近では、誰もがイノベーションを起こせるようにするスキルの開発や、地方自治体イベント・自治体首長のマニュフェストづくりに参加するなど活動の幅を広げている。

主な受賞歴に朝日広告賞、日経広告賞グランプリ・優秀賞、日経金融広告賞最高賞、日本雑誌広告賞、東京コピーライターズクラブ新人賞などがある。

【ホームページ】https://deepvisionlab.jp


自分という商品を、どう高く売っていけるのか?

小林 : 誰もが知るような企業のコンサルもやっていらっしゃるようですが、個人の方にもやっているんですか?

江上 : 個人はごく少ないですけど、友人に限ってオーダーがあった場合に引き受けています。

小林 : 企業も個人も本質的なブランディングは同じかもしれませんが、今回はどちらかというと、個人が自分という人間を一つの商品と見立てて、どう最高値で売っていけるのかということで、ブランドという見地からいろいろお聞きしていきたいと思います。実際僕も、自分自身をもっと高値で売って活躍していきたいと思っているので、僕のコンサルティングみたいな感じでインタビューにこたえていただけたらと思います。

まず江上さんから見て、ビジネスの世界で、個人で最も最高値で自分を売って活躍している人たちって、どんな人たちですか?

“尾木ママ”のポジショニング

江上 : 一般的にいうと、著名人はみんなそうですよね。著名人で、ちゃんとポジションが確立されていて、食べられている人たちというのは、基本的に全部自分を最高値で売っていると思います。

小林 : 著名人って、自分の名前をちゃんと売っているということなんですかね?

江上 : 名前とポジショニングがひっついていて、世の中に居場所を確保している人です。

例えば教育評論家で“尾木ママ”っているじゃないですか。彼は法政大学の教授であって、テレビに出る前に、何十冊も教育関係の本を書いている、すごく優秀な教育評論家です。そのポジションを持ちながら、テレビの世界に出てきて、より自分の価値を上げているというところからすると、そういう意味では自分を最高値で売っている人の一人だと思います。

小林 : 単純に尾木ママの報酬だったら、普通の大学教授の何倍もありますよね?

江上 : 何倍なんてものじゃないんじゃないですかね。

小林 : 何倍以上、かつ複数のお金の流れがありますよね。

江上 : それはあると思います。最高値で売ると、いろんな紐付けができて、価値がどんどんふくらんできますよね。

小林 : 尾木ママは教授として大学からもお金をもらってるし。

江上 : 執筆者としてももらってる。それからお母さん方に対する講演会でももらってるし、テレビ出演でタレントとしてももらってるし、他にもあるんじゃないかと思います。

小林 : 日本人1億3000万人くらいいるとして、尾木ママの認知度ってかなり高いですよね。

江上 : 6、7割はいってる気がしますね。

普通の会社員が、ゼロから自分を最高値で売っていくためには?

小林 : すごいですね。どうしたら尾木ママみたいになれるのか、みなさん知りたいと思います。僕自身、今は普通に会社経営をしていて、コンサルティングや講座、出版の印税とかがあります。投資はお金がお金を生んでくれているので、投資は横に置いておくとして、自分自身をより最高値で売るために、複数の収入の柱を持ちたいし、増やしたいと思っています。

例えば普通に会社に勤めている20代の人が、高値で自分を売っていけるようになるには、どのようなステップを踏んでいけばいいですか?

江上 : シンプルだけど、まずスキルを身につけることです。会社員になるのかフリーなのか分からないけど、その中でとにかくスキルを磨くことが第一歩です。

20代、30代の若い人のスキルの磨き方

小林 : 僕はラーメン屋の日雇いのバイトを、28才くらいのときにやってましたが、僕がラーメンの皿を高速で洗うスキルを磨いたところで、全然高く売れる気がしませんが。

江上 : それは小林さんにその仕事が合わなかったからで、ラーメン屋になりたいと考えている人には、皿洗い一つでもスキルのかたまりというふうに分解できるはずです。もっと言うと、自分の好きなところで働かなければならない。能力に合ったところ、キャラクターに合ったところを見つけるのが、まず一つかなと思います。20代、30代の若い人には、そこが前提です。

形式知と暗黙知の2つを身につけ、スキル化する

小林 : 今、20代、30代というお話でしたが、僕の父がちょうど還暦迎えて、今も会社経営しています。リタイアしたいと思っていない中で、会社勤めが一段落した人たち、定年退職した人たちも、もう一回ゼロベースで自分のキャリアをつくっていく時代になっていると思うので、そういう意味ではいろんな人にあてはまると思います。まずは自分が好きなことで、やってることが苦にならないくらい没頭できるものを見つけるということですね。

江上 : 見つけることが第一だし、没頭していればノウハウがたまっていきます。ノウハウには形式知と暗黙知があって、形式知はある程度学んで知識として身につけることができるし、例えばその会社独自の文化の中でつけるものもありますが、暗黙知は言語化されていない知識なので、その二つをきっちり身につけると、それをスキル化することができます。

暗黙知の身に付け方とは?

小林 : 形式知というのは、知識を身につけようと思ったら、例えばこの本を読んだら、ある程度は身につくわけじゃないですか?でも暗黙知というのは、身につかないような気がするんですけど、暗黙知はどうしたらいいんですか?

江上 : 暗黙知は現場の中にしか落ちてません。知識としてはいろんなものを身につけられるけど、それは実生活や実仕事の中で磨いていくしかなくて、そこは教えられるものではないです。小林さんも、最初に入った会社、次に入った会社で、スキル化するものをたくさん磨いてこられたと思いますが、その経験がなければ今の状況に至ってないですよね。フリーランスの仕事でも、その中に暗黙知は落ちています。

小林 : 僕はあまり考えずに動くタイプなので、失敗も多かったですが、うまくいかなかった経験も含めて、結果的に自分の中の形式知と暗黙知をスキルにできていると思います。

江上 : 絶対身になってますよね。

小林 : そういう意味で、どんどん経験したほうが、価値あるスキルを身につけられるということですね。

江上 : そうだと思います。昭和的な考え方かもしれないけど、一生懸命取り組んでいると、そういうのが身についてきます。単純にコツとポイントだけで全部乗り切れるかというと、そんなことはないです。多分小林さんも、壁にぶつかって苦悩した時期があると思いますけど、それは相当役立ってるはずです。

プロフェッショナル仕事の流儀

小林 : 今回“最高値で売る”というコンセプトなので、よりリアルなところに踏み込んでいきたいと思います。ぶっちゃけた話、高値で売れる仕事と、高値で売れない仕事ってあると思います。

例えば、僕が所属しているようなコンサルティング業界や、金融業界は、高値で売れる力が身につきやすいというか、そもそも年収が高い。高い年収をもらっているということは、それだけ生産性が高い仕事だと思いますが、一方で、ラーメン屋のバイトや、コンビニのレジ打ちという仕事は給料が安い。そもそも職業自体の平均年収が、全然違うわけですよね。僕からしたら、意識的にですけど、20代に修行を積んだからこそ、今自分を割と高く売れてる気がするんですけど、そもそも選ぶ仕事で安い仕事になってしまうのか、高い仕事になれるのかって、現実的にあるような気がしますが、その辺りどう思いますか?

江上 : 現実的にはあるけれども、下積みみたいなところにいる方たちも、ノウハウとスキルの発見の仕方によっては、ちゃんと高値で売れるようになると思っています。頭が良くて、コンサル業界や金融業界にいなければ、高値で売れないかというとそんなことはない。テレビのプロフェッショナルの番組を見ていると、例えば、空港の掃除で日本一みたいなおばさんが出てくるんです。

彼女には高値で売るという発想はないのかもしれないけど、誇りを持って掃除をしてるし、実際に彼女が掃除したところは、本当にきれいなんです。それはスキル化したり、売るという発想があれば、もっと全然違うものになるのかもしれないけど、ただその視点があるか、ないか、だけのような気がします。どんな職業でも、スキルを磨いて、自分にストックするものをためていかないと、ただ漫然と掃除をやっている人は、それは一切できない、そこの違いだけかと思います。

小林 : あらゆるビジネス、商売が売っているものは、究極一つでそれはカスタマーサクセス、顧客の成功で、それを自分も意識しているし、お客さんにもお伝えしています。

例えば、レストランにしても、そこでの家族の思い出のひとときというカスタマーサクセスを提供しているかもしれないし、それが高値で売るポイントだと考えています。その掃除のおばさんにしても、より価値ある自分になっていくための、仕事における心構えというか、どこに意識を置いていったらいいのかというのは、何かありますか?

江上 : 単純に、もう一個上の視点。お掃除をやっている方は、掃除をしてるという意識よりは、空港全体をいかに快適に保つかみたいなところで、彼女は多分掃除全体を考えている気がしました。視点の違いで、自分を高値で売れるかどうかが決まってくる気がします。

分かっちゃいるけど、動けない時は

小林 : 視点の違いというのは確かにそうだと思いますけど、頭で分かっていても動けないことってあるじゃないですか。例えば、本に道徳的なことが書かれてあったとして、“お客さん目線に立て”“経営者目線に立て”と言われても、今はできますが、そうなれない自分がいたんです。分かっちゃいるけど動けない、というのはどうしたらいいんですかね?

江上 : それは僕もよく分からない(笑)僕も、分かっちゃいるけどやれないというところは、結構あります。例えば、僕は本を1冊書くのに、時間がかかるほうなんですね。その場合は、どこかに小さな楽しみを見つけます。例えば、今日は2000字書くというステップをつくって、それを一つずつつぶしていく楽しみを見つける。小さくねぎらうというのを、ずっとやっていく。小さい達成、小さいねぎらい、小さい達成、小さいねぎらい、とやっていくと、「ちょっと、これやりたくないな」ということも、必要なことはやれていく気がします。

自分で自分を満たせられるか?

小林 : それって、自分で自分を満たせるというか、自分で自分を喜ばせるかということにもなってくるんですかね?

江上 : つながりますね。

小林 : 今回の本にも書きましたが、自分の欲求充足ができる人ほど高値で売れるという話をしています。

なぜなら自分が満たされているからこそ、人に与えられる。コップの自分というものが満たされて、あふれた分だけ世の中の愛情になれる。自分が枯渇した状態だと、「もっとくれ」という形だし、そもそも自分を満たせない人が、人のことを満たす感性なんて持ち得ない。

ちょっと言い方が厳しいですが、僕自身が乾いてた状態から、ある程度人にしてあげたいという変化もあったので、そういうふうに思っています。今の話を聞いてると、やらされ感でやるのか、自分が楽しめるという感じでやれるのかで、全然発想が違うなと思いました。

まとめると、自分を高値で売っていくためには、価値あるスキルが必要で、そのスキルというのは形式知、本とかで勉強できる知識的なものと、暗黙知というのは経験の中でつかみとっていくしかないということですよね?

江上 : その掛け合わせで、その人の独自性が出てくるので、小林さんの場合も、その掛け合わせでここに行くというのが出てきて、それが大きな価値を持つという形になっていったと思います。そこを鍛えた上でどう掛け合わせるか。それはポジショニングかもしれないけど、そこがすごく重要かなと思います。

高値で売っていく人たちの働き方

小林 : 例えば僕が、ボンと収入が上がったのは、1社から給料を30万円もらっていて、「なんでこれ、30万円払ってくれてるんだろう?」というので、会社と僕との取引の中で、どういう価値提供を期待されているのかということを洗い出しました。

それをパッケージ化して、複数の会社と契約すれば収入が伸びると思ったんですね。実際7社にドンと増やしたら、月額30万x7社で毎月210万入ってくるようになったので、別に1社と契約するって誰も決めたわけじゃないので、それも一つのこれからの働き方だと思っています。今後、副業解禁になってますし、江上さんはこれから、高値で売っていく人たちは、どんな働き方になっていくと思われますか?

江上 : 今言ってるような形じゃないのかな。フリーランスがプロジェクトごとに集まって、ちょっと会社的な形態になって、プロジェクトが終わったらまた散ってと、そういう働き方が多くなるのかなと思います。

大企業に長年勤めていた友人がいるんですが、スキルは持ってるんだけど、パーツと言ったら失礼かもしれないけど、その中でタコツボ的に進化してるので、外に出たときに自分の棚卸ができない人が多い。それはもったいない。会社の中にいるときから、自分のポジショニング、自分に何ができるのかという問いをずっと自分に発してないと、これからは厳しい世の中になるんじゃないかと思います。

小林 : 僕が7社に増やしたとき、各社で全体的な仕事の流れというのを理解した上で、自分はどこの役割にコミットできるのか、どこの結果にコミットできるのかということを、まず見つけるというところから始めました。

そうすると、7社に対して、自分というものをどう価値提供していけばいいかというふうに、自分を一つの商品と見立てることができたんです。

ですが、確かに会社に勤めていると、どうでもいい仕事も飛んでくるし、どうでもいい社内の人間関係の調整とか、あとは能力の低いミドルが一番邪魔してきたりして、その人に気に入られようとすると、自分というものを下げて、会社の中でタコツボ的に最適化していかないといけなかったする。一つの会社に最適化されてしまうと、不自由な感じになる、他に応用が利かなくなるということですね。

企業の寿命は短く、人の寿命は長くなる時代

江上 : 能力が高くても、フリーランスでなかなか食べていけないという人は、結構多いんですよね。

小林 : 企業の寿命はどんどん短くなって、60才まで1社で勤められない。一方で人の寿命は100年に延びている。明らかに当時の設計と違っている。ということは、今現役で働いてる人は、ほぼみんな、逃げ切れないと思うんですが。

人生100年時代という中で、どう考えても今までの国の社会保障というものが、昭和とか大正に設計されたもので、人が50、60まで働いて、5年から10年で死んでくれるという前提で組まれていますよね。どうしていったらいいですか?

江上 : 今、新卒から始まって50前後の人までは、いろんなことを考えたほうがいいですね。特に20代、30代は、どういうふうに自分の人生設計をしていくか、ライフタイムを過ごしていくか、どうやって稼いでいくかというのは、今からすぐに考えたほうがいいと思います。

小林 : とはいえ、生活コスト自体は下がってはいきますよね。

江上 : 下がってくるし、単純作業の仕事はなくなっていくし、移民というのは日本ではないと思いますけど、技能実習生という形で受け入れてますが、ここ10年で仕事も社会の構造も、かなり変わってくるので、その中で生きていくというのは、10年後、20年後を想像しながら設計しないと、厳しいんじゃないかと思います。

自分のスキルを磨いていくには?

小林 : 結局、自分のスキルを磨いていくには、実践も含めて学び続ける必要があると思います。

僕の未来予測というか、こういう社会になっていくのではないかと思っているのが、個人や企業が学校になっていく、アカデミーになっていく時代がやってきてるなと感じています。

江上さんもそうだし、僕も、人に教えることをやってる。自分が結果を出した方法を、それを学びたい人に教えて、職業的な知恵を身につけてもらう。ある種、実践的なスクールをやってると思います。一方で、僕は早稲田を出ましたが、学校で学んだことって、乱暴な言い方をすると、社会でなんの役にも立ってなくて、なぜなら実践というものがなかったからです。

江上 : 理工学部ですよね?実践はなかったのですか?

小林 : 多少の研究はありましたけど、世の中にそれを出すまでは、僕はやってないので、基本的にペーパーテストで問うような知識って、明らかにAIのほうが優れています。算数・物理とか、論理的に詰めていくと答えが決まっているもの、論理思考力もAIのほうが強いわけです。

ということは、たくさんの知識を覚え、論理的に思考して、すでに決まっている正しい答えを出すという学校で学んだ力は、AIが全部やってくれるから、僕ははっきり言って、ここの価値は0円だと思うんです。早稲田大学、僕は親にサポートしていただきましたけど、年間結構な授業料、100万くらい払っていたと思いますけど、そこで生み出せる経済価値は、ほぼ0円だなと思っていて、既存の学校の存在価値というのは、かなり見直さなきゃいけないと思ってます。

実践で暗黙知というか、きちんと価値を生んでいるような個人や企業が、次の教育を担っていくんじゃないかなと思っているというか、むしろそういう時代がすでにやってきていると思います。これからの教育に関しての江上さんの意見はどうですか?

全ての仕事は教育産業である

江上 : どなたかが言ってましたが、“全ての仕事は教育産業である”という言い方があって、お客さまに「ああ、そうなんだな」と納得してもらって、商品なりサービスを購入いただくというのは、確かに教育産業だなという側面はありますよね。

ただ、今のスピードが、どんどん加速度的に速くなると思うので、それをキャッチアップするために、僕みたいなおじさんは、かなり勉強する必要があるし、若い人は自然と勉強していくんだろうけど、単純に一つの仕事を何十年もやるというのは、時代としては終わったので、常に学び続ける必要があるという意味でいったら、世の中にもっと教育産業があふれてくると思います。

小林 : 確かに、仕事の賞味期限がどんどん短くなってきてますよね。

江上 : 昔は、商品でも一回ヒットすると5年、長いと10年くらいずっと売れましたが、最近は長くて2年。そういうサイクルがどんどん短くなってます。

江上さん流のスキルの磨き方

小林 : ということは、スキルを身につけることは、大事だけど、そのスキル自体も賞味期限がどんどん短くなってくる可能性があるということですね。最後に、江上さん流のスキルの磨き方だったり、学び方、ご自身がどういうことをやっているのか、教えてください。

江上 : 僕は、小さい頃から変わることなく、ものすごく好奇心が旺盛で、気になる本は必ず買うし、気になる作品があれば見に行くし、気になる歌手がいたらYouTubeで探して聞いてみる、ということをずっと続けてます。

それは同年代と比較しても、幅広くいろんなことを見たり、聞いたり、読んだり、試したりしてると思います。それが実は、自分の全ての仕事の土台になっています。

その中で、これは明らかに仕事に必要だというものは、お金をかけて勉強していくという形です。意識的に勉強するというよりは、自分の仕事上の必要もあるけど、なんとなく自然に好奇心で、いろんなものを吸収しながら、ポイントだけはきちんとつかまえて、お金をかけて、時間をかけて勉強するようにしてます。

小林 : 自分の好奇心を追いかけていきつつ、お金をかけて学んだほうがいいことに対しては、自己投資をするという感じですね。

年収の5パーセントを自己投資に回しなさい

江上 : サラリーマンの方に一番ない発想が、実は自己投資です。“年収の5パーセントを自己投資に回しなさい”とよく言われますが、例えば1000万欲しかったら、毎年50万円をセミナーなり、本なり、自分の滋養となるもの、スキルをつけるものに投下していくのがすごくいいし、実際自分のことを考えても、それが投資としては最大に効果があります。

小林 : 話がちょっと違うかもしれませんが、自分でお金をボンと払うのって大事ですよね。商売の感覚として僕が思うのは、自分を高値で売るには、相手に高い値段を自分に払ってもらう必要があります。いいものだなと思ったら、高い値段でボンと払うことが大事だと思います。

江上 : 払って、体験するって大事だよね。

小林 : 自分が無料で全部なんとかしようと思ったら、自分のことも無料で売ろうとなっちゃいますよね。

今日は、かなりいろんなお話を聞いてきましたが、これを見ている方は、自分を高値で売っていこうという意識の高い人たちだと思いますけど、最後に江上さんからメッセージをいただけますか。

個人も自分なりのビジョンを持ったほうがいい

江上 : 実は今、ビジョンの本を書いています。企業や自治体や国とかは、ビジョンを持つということが重要と言われていますが、僕は個人も自分なりのビジョンを持ったほうがいいと思っています。

1億稼ぐ、2億稼ぐ、というのはそれは単純な目標であって、そうではなくて、世の中に対してどういう貢献をしていこうか、自分がどういうふうに生きた証を他人に与えて、社会に与えて幸せになっていくか、そういうビジョンをつくるといいなと思ってます。

高値で売るという以上に、その先にビジョンがあったほうがいい。そうすると、高値で売ることが自然にできるようになるんじゃないかと思っています。

自分と向き合う作業を通じて

小林 : 僕はお客さんへの貢献の結果が、売上や収入になってくると思っています。自分のビジョンを描くエッセンスみたいなものはどうすればいいですか?

江上 : 自分を深掘りして、棚卸していくしかないですね。

小林 : 自分を見ていくということですね。

江上 : 結局ここにしかないので。外にはビジョンはないので、ここにしかないです。

小林 : 本を読んでも見つからない。インドに行っても見つからない。

江上 : 見つかるのは、ここだけ。

小林 : 大事ですよね。自分と向き合うみたいなことって、されてるんですか?

江上 : 本当はやらなきゃいけないんだけど、あんまりやってない。僕も、小林さんみたいに、瞑想しなきゃいけないと思ってます。ちょっとそこは偉いなと思ってます。

小林 : 僕も本を書いてて思ったんですけど、あれは結構自分と向き合う作業ですよね。

江上 : 完全にそうです。自分と向き合う作業だし、いい意味で言うと、自分の中にこんなものがあったんだ、と知る作業になるし、逆に言えば、「ここまでしか来れないのか」という自分の限界を知る作業でもありますね。

小林 : 自分を知るという意味では、本を書くまではいかなくても、日記を書いてみるとか、何か自分の思いを書いてみる。

江上 : ブログを書いてみるとか、全然ありだと思います。

小林 : 今回“自分を最高値で売る”というテーマで、ブランドの専門家の江上さんにインタビューをして、尾木ママの話から始まりまして、自分を高値で売っている人は、そもそもスキルというものが高くて、それを発揮できるようなポジションで知名度をどんどん上げているということ。かつ、スキルには賞味期限があるというか、連続的に時代にあわせてスキルを磨き続けていく必要があるということを教えていただきました。

それから、自分が儲かるとか、自分の収入というところの、もう一個先の、世の中にどのような貢献をしていくのかというビジョンを描いて、そのビジョンを実現していく結果として、気付いたら自分を高値で売れるというところも、教えていただきました。

今日はどうもありがとうございました。

江上 : ありがとうございました。

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