【麻野 進】40・50代から自分を最高値で売る方法

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2018年8月31日、組織・人事戦略コンサルタントの麻野進さんと、『自分を最高値で売る方法』著者の小林正弥との専門家対談が行われました。40・50代から自分を最高値で売る方法についてお伺いしましたので、どうぞ対談をお楽しみください。

組織・人事戦略コンサルタントの麻野進さんとは?

小林 : こんにちは、株式会社教育スクールビジネス研究所の小林正弥です。今回は私の著書、『自分を最高値で売る方法』の出版を記念して、普段はなかなかお話が聞けない専門家の方々にインタビューをしています。本日は、株式会社パルトネール代表で、人事組織コンサルタントの麻野進さんにインタビューをしてまいります。2018年にすでに2冊出されていて、『課長の仕事術』、部下を引っ張り役員を狙う、かなり骨太な内容になっています。役員を目指すような課長のための具体的な仕事術です。そしてこちらが『50歳からやっておくべき会社員の終活』ということで、どちらかというとこちらは、役員を目指していくというよりは、そこまで目指さなくても、これから80年のワークライフ、人生でいえば100年ライフに向けて、どう長期的に働くキャリアを形成していくのかという、麻野進さんによる働き方改革の提案になっています。では、麻野さん、よろしくお願いします。

麻野 : よろしくお願いします。

小林 : まず最初に、麻野さんのこれまでのご経歴、どうやって麻野さんが今みたいに独立されて、最高値を更新されていったのか。過去にはリストラ対象になったり、いろいろ苦しいご経験もあるということで、その辺りからお話いただけますか。

麻野 : 私は製薬会社のMRをやってました。当時はバブルだったので、成績はそれなりによくて、自分の実力か、バブルのせいか分からないけど、成績はよかったので、勢い余って、コンサルタントとして頑張っていこうと思い、27でコンサルタントに転身して、そこからがキャリアです。何回かコンサルの経験をした中で、30過ぎくらいから人事系にシフトしていきました。そのときに、人事系のコンサルティング会社に入りましたが、そこで6年くらい、年間5000時間くらいは働いたんですが、そういうところが認められて役員に登用されました。

小林 : 何歳のときですか?

麻野 : 40くらいです。役員になるまでは右肩上がりで出世していったパターンですが、会社で役員になるということは、社長と近しい存在になるということです。そうすると、組織の運営や経営方針で社長とぶつかることが増えてきて、就任1年足らずで、役員をやめざるを得ない状況に追い込まれ、精神的にも厳しくなり、プチうつのようになり、社長が「麻野くん、働き過ぎなんじゃないの?」と。4年連続、正月はオフィスに泊まって作業していたようなレベルで、さすがにこたえたので、社長に「1週間くらい休暇を取って、ゆっくりしたらどうだ」と言われたので、グアムに行ったり、新潟の禅寺に禅を組みに行ったりして帰ってきたら、コンサル部門ではなくて間接部門の責任者になってくれと言われて、実質リストラだったんです。これは自分を外そうとしているというのが分かったので、転職活動をやって、別のコンサルファームに転身しました。役員になった会社でリストラされたというのが、最高値になった状態からバーンと底値に落ちた部分です。その後に入った会社が、大手企業のコンサルファームで順調にやったんですが、2008年にリーマンショックが起きて、組織がとりつぶされました。コンサル担当は専門職なので、人事のコンサルティング部門がとりつぶしということになると、会計がコンサルタントになるわけにいかないし、戦略になるわけにいかないしということで、必然的に退職勧告を受けて辞めざるを得ない。人件費の高い人から辞めてくださいという話です。これはしょうがないなと。年も45になっていたので、もはやこれまでかなというので、会社と取引をしました。私が今営業している案件、私が辞めたらできなくなるので、私がこのまま仕事を持っていってもいいなら、会社の話に応じて何も言わずに辞めますということで、辞めて、会社をつくりました。お客さまを確保して始めることができたので、そのまま9年くらいになります。

小林 : 起業後は、順調でしたか?

麻野 : そうでもないです。お客さまがいる状態で来たので、マーケティングをしなくてよかったので、1年目は結構よかったですが、仕事をこなすだけで終わったので、契約が終わると、やばいなという状態になりました。そんなときに子どもの中学受験で、銀行からお金を借りて、やりくりしながら、2年目ガーンと落ちましたが、そこから運営のノウハウも分かってきて、多少の上がり下がりはありますが、高値を更新してきているかなと思います。

小林 : 本は何冊出されましたか?

麻野 : 6冊です。昔は1、2万円するような専門書を書いてましたが、こういう感じのビジネス書は6冊目です。この1年で4冊出しています。

小林 : 本を書いてほしいと言われるくらい、市場価値が上がっているということになりますね。

麻野 : 私の仕事は、時給x稼働時間が収入になってくるので、時給という単価をどれだけ上げるかというところで、本や講演活動が単価につながってくるので、「書いてくれ」というお話があれば喜んで書かせていただいてます。


【麻野進さんプロフィール】

1987年 関西学院大学法学部政治学科卒

国内系大手コンサルティングファームにて、医療機関を中心に、マーケティング・人事管理等のコンサルティングを担当した後、人事・組織コンサルティングファーム取締役、大手SI系コンサルティングファーム シニアマネージャーを経て、現職。
全日本能率連盟認定マスターマネジメントコンサルタント(J-MCMC17001 国際ライセンスCMC12402)
特定社会保険労務士(登録番号 第13100081号)
初級産業カウンセラー
早稲田大学 大学院会計研究科 非常勤講師(2009年度~)『人的資源管理』担当

【ホームページ】https://partenairejapan.co.jp/


40歳以上の人が最高値を更新し続けるには

小林 : 麻野さん自身がどうやって最高値を更新していったのか、これからさらに高値を更新していきたいという人に向けて、アドバイスを聞いていきたいと思います。僕は20代、30代の働き方は語れますが、それより上の世代の人に対しては、麻野さんのほうがご経験されているので、その経験も含めて語っていただきたいと思います。

麻野 : 僕は50歳以上向けの本を書いていますが、小林さんの本とも共通するところがたくさんあって、線を引かせていただきました。例えば、23ページに「目の前の仕事をこなしつつ、先を見てスキルアップしないと、スキルが滅びる」と書いてあります。私の仕事はコンサルタントなので、企業の人事制度をつくっていました。専門職とマネジメント職というのがあって、専門職の人は、会社の定義に基づいて、それなりに会社に貢献して、専門性が高いと認められた人が専門職の位置付けになります。専門職というのはあくまで、社内処遇制度の中の位置付けですが、専門家といわれる人たちは、会社内だけではなくて、外の人たちも含めて「あの人って、専門性高いよね」と認められている人です。でも多くの企業で専門職に位置付けられている人は、ここで書いているような“先を見たスキルアップ”をあまりしていません。一度専門職と位置付けられると、勉強しないので、古びてしまって、使えないおじさん・おばさんになってるケースが多いです。その人たちに、もうちょっと頑張らないとやばいよ、ということで書いたのが、『ポジティブな人生を送るために50歳からやっておきたい51のこと』という本です。40超えてくると、仕事のやり方が固まってきて、新しいものに取り組もうということが少なくなってきますが、専門家といわれる人たちは知識や経験をアップデートしているので、それを見習わないといけません。

求められる人材と活躍する人材の違いとは?

麻野 : それから38ページ、「求められる人材は、活躍する人材とイコールではない。求められることをやっているだけで、あなたの収入は上がらない」と書かれています。どういう人材が求められているのかというのを、格付け別に定義するのが僕の仕事の一つで、そのときに“求められる人材と、活躍する人材はイコールではない”というところに、そうだそうだと思いました。世の中に、“2:6:2の法則”というものがあります。大きな組織の中で、上位2割が活躍していて、組織を引っ張る人で、真ん中6割が標準的な人たちで、下位2割は足を引っ張っているという区分があります。会社の人事制度というのは、真ん中6割と下位2割の人たちのための仕組みです。その人たちに、どうやってより良く働いてもらうかというと、“こういう人材を求めています”ということを定義して、この通りに働いたら給与が上がりますよ、というのが人事制度です。でも上位2割の人たちは、活躍の機会を与えれば勝手に伸びていく人たちです。会社の中でそれなりにやっていくためにヒントになることが、小林さんの本にはたくさんあると思いました。テーマ的には独立して稼ぐような人が、こちらの本の読者の中心だと思いますが、サラリーマンの方も、自分の高値更新をしていくために、参考になる本だと思ったので、線をたくさん引きました。

小林 : 他にありますでしょうか?

麻野 : いっぱいあります(笑)「あなたの報酬は、単価x顧客数だ」というところ。僕の仕事は、単価x稼働時間なので、単価をいかに上げるかということを、常々テーマにしていますので、このような本を書いて、知名度を上げて、単価アップにつなげています。

会社員で年収1000万円超えるには?

小林 : 普通の会社では年収1000万も払わないよ、ということを冒頭に書いたんですが、結局2:6:2の、求められる人材しか採用の募集にはないので、その枠の中で求められる仕事だけをやっていたら、1000万は超えられない。でも1社から1000万もらえなくても、複数の会社から収入をもらえる働き方ができればよいので、自分の専門性をパッケージ化して、複数の会社と契約するというのはアリですので、それなら1000万超える人は増えてくると思っていますが、その辺は、どうでしょうか。

麻野 : 副業というのは、今まだ会社の中では公には認められていません。厚労省は、就業規則のモデル例として「副業規定」というものをアップしていますが、企業としては副業を公に認めてしまうと、本業に支障をきたすのではないかという懸念があって、副業解禁という企業は、まだ本当に限られています。ただ、いろんな副業や働き方改革が出てきて、実質は解禁されているのも同然だと僕は思っています。昔だと、「こいつ、副業やってるんじゃないか」と根掘り葉掘り聞いてきたかもしれませんが、今は、やってるかもしれないと思いつつ黙認していると思います。だから副業の隠れキリシタン状態で、結構やっていると思います。小林さんの本でも、サラリーマンしながら、別で稼いでいるお話がありましたね。

小林 : それがむしろ本業にも生きるという、その辺りのお話もお願いします。

最高値更新するために、家族とどう交渉するか

麻野 : 私は「週末企業」というものを、お勧めしています。副業の一般的なイメージは、お小遣い稼ぎ。働き方改革であまり残業ができなくなったので、実質の収入が下がっている人が、大企業を中心に今非常に多いです。一説によると、月収5~7万円下がっているらしいです。

小林 : 5~7万円も下がると、お父さんのお小遣いからまずカットされますね(笑)

麻野 : 家計収入の振り分けの最上位は子どもの教育費です。会社では景気が悪くなると、社員の教育費、交際費、交通費がカットされます。家計の中で一番カットされるのは、お父さんの飲み代ですね(笑)お父さんも自分のお小遣いを使って、自己啓発をして、自分の高値を更新するための活動をしているんだと言えば、削られる対象になりません。給料が今30万だとして、35万、40万になるために、こういう教育投資を自分にしているんだから、お小遣い3万円アップしろと。僕は、お小遣いとは言わずに“活動費”と言ってましたが、自分の高値を更新するためにお金を使うのだから、正当な権利として、家計が苦しくてもちゃんと確保してくれと、そんな話をしていましたので、お父さんもそれはぜひやっていただきたいところです。

小林 : 自分のお金の使い道も、新橋の飲み代だけではなく、ちゃんと将来の収入を生み出すために投資していこうということですね。

麻野 : そういう説得をしないと、奥さんから活動費は引き出せません。お父さんのお小遣いは簡単にカットされてしまいますから。私は中高年の味方ですので、こんな本を書いています。

最高値更新するために、意識するべきことは

小林 : 麻野さんがどうやって最高値を更新しているのか、普段意識していることを教えていただけますか?

麻野 : 高値というのは、僕の仕事の場合、単価のアップなので、短い時間でより多くのフィーをいただくにはどうしたらいいのか、単価を上げるためにどうしたらいいか、ということを普段考えています。一番手っ取り早いのが本を書くということで、これがベストセラーになれば、単価はどんどん上がります。実は僕の本は、ニッチな分野でもあって、正弥さんのようにベストセラーにはなっていませんが、オファーをいただくために、出版社の方々との交流は大切にしています。出版の方やマスコミの方が集まるとこに出入りしていて、そこで普段の打ち合わせをします。この間も話をしているところへ、『アエラ』の記者が来て、“50歳特集”をやるというので、「このテーマだったら、麻野さんに聞いたほうがいいよ」ということで、そこで取材になって、『アエラ』の記事になりました。

小林 : 重要な人脈は飲み屋でということですね。

麻野 : 本を書き続けるための活動はしています。飲み屋で知り合ったプロデューサーや放送局の人たちに、メルマガを出したり、本を送ったりとかしていると、定期的なつながりをつくることができるので、執筆の機会やウェブで書かせてもらう機会が増えてきました。

小林 : もともと書くのが得意だったんですか?

麻野 : 全然得意じゃないです。

仕事につながる人脈の作り方とは

小林 : 仕事につながる人脈の作り方を教えてください。

麻野 : 勉強会に参加するのが一番いいと思います。サラリーマンの人は、名前が出たら困るということで、Facebookをしている人が少ないです。20~30人の研修をしているときに、リーダーや課長層の人たちに「Facebookしている人、いますか」と聞くと、3、4人しかいませんでした。でもFacebookにはいろんな勉強の機会があります。コーチ養成講座に入っていて、卒業課題として、100人のクライアントにコーチをしなさいというような会があって、お茶代だけで、コーチングしてもらって、自分の能力を引き出してもらうことができるわけです。今はお金を使わなくても、いろんな勉強の機会があるし、そういうところに集まってくる人たちは、自分を高値にしていきたいと思っている人たちだから、そういう人たちと知り合いになるだけでも、そこからつながる人脈もあります。

国語力が低くても大丈夫!読みやすい文章の書き方のコツ

小林 : 会社に勤めながらも、勉強など前向きな会でつながっていきましょうということですね。あと自分の専門性を人に伝えるには、書く力が大事だと思いますが、どうやって本を書いたらいいですか。

麻野 : 今でも書くことに苦手意識があるので、ヨシダヒロシさんの“文章の書き方講座”みたいなのに行きました。ライティングの人が講師をしている講座を聞きに行ったりしています。もともと僕は、大学受験するときに偏差値50しかありませんでした。

小林 : 早稲田ですよね?

麻野 : 違います。早稲田は教えに行ってます。非常勤講師をやってます。受験のときの国語の偏差値50で、英語の偏差値60で、世界史が90で、どんなテストも95点以上取れるみたいな、そこだけだと東大レベルだったんですが、特に現国が駄目で、文章の読解力や作文がすごく苦手でした。でもコンサルタントをやると文章を書かないといけない。パワーポイントを作るとしたら、最初のリード文、2、3行の中で、一言でチャートの内容を表現しないといけないので、そこで多少鍛えられました。

小林 : パワーポイントの字数制限がある中で、要点をまとめる練習をされていたんですね。

麻野 : それは基本だと思います。本を書くときに意識していることは、一つのかたまりは1500~1800字なので、最初の1、2行で、この1500字はこんなことです、というのを書きます。あとは説明して、最後にまとめをして結論。そういう枠組みを作れば、あとは埋めていく、そういうことを意識しています。

小林 : 結論だけ読んでも意味が分かるので、すごく読みやすいです。

麻野 : 大事なことは結論で書いてるので、10分くらいで本の内容が分かってしまうので、だから売れないのかなと(笑)

小林 : 結論立ち読みで(笑)書店で、結論の立ち読みだけではなく、購入をお勧めします。

『50歳からやっておくべき会社員の終活』著者による働き方改革

小林 : 最高値というキーワードで、読者の方へヒントをいただけますでしょうか。

麻野 : 今、働き方改革がブームになっていますが、サラリーマンの方って、なかなか働き方を変えられないですね。出世の法則の一つとして、誰もが実践しているものだと思いますが、上司から10の仕事を依頼されたら、15のアウトプットを作って、上司に差し出します。上司からすると、「10しか言ってないのに、よくやるね」ということで、プラス5点もらえるわけです。上司も過剰品質の仕事をする部下を評価する傾向があるので、それが会社全体に広がると、ものすごく無駄な仕事をしている可能性が高いです。上司は部下に「これだけすればいい。それ以外の仕事はしなくていい」という形で任せたほうが、本当は会社全体の生産性は上がるはずです。でも出世の法則がかえって邪魔をして、働き方改革を阻害しているという現実があります。でも若い人たちは、過剰なほど仕事をしたほうが、自分の成長につながるので、もっと仕事をしたほうがいいんだけど、変な形で働き方改革が広まったことで、若い人たちにあまり仕事をさせない状態になってきて、その結果、残業代のつかない課長が自分で仕事をやる。課長クラスの人たちが非常に疲弊している。一番かわいそうなのは課長です。そういうことを伝えたいと思って書いたのが、『課長の仕事術』です。頑張ってほしい課長だけど、頑張り方をもう少し、こうする必要がありますね、ということを書いてます。
中高年は、100歳まで生きる時代になりました。今の50歳の人、2人に1人は92~96歳まで生きるらしいです。年金でそこまでいけません。少なくとも80まではしっかり働かないと、まともな収入が得られないので、50の時点で、人生の後半30年、働くことを前提とした仕事をしていきましょう。引退モードになっては駄目ですよ、というのがこちらの本、『50歳からやっておくべき会社員の終活』です。『50歳からの最高値更新の方法』というものを、今、ちょっと思いつきましたが、クロスメディア・パブリッシングさん、どうですか?(笑)

小林 : 今日はありがとうございました。

麻野 : ありがとうございました。

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