専門家対談 勝亦 徹さん 結果が出る「経営者のための仕組み経営術」の魅力
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小林:それでは今月の専門家対談を始めていきます。2021年7月から社名が変わりましてTHE ONE株式会社となりました、小林正弥です。よろしくお願いします。
今回は、「経営者のための仕組み経営術」というテーマで、経営の仕組化、戦略的会社を経営していくプロフェッショナルである勝亦徹さんにお話を伺います。
私は、勝亦さんとここ3年ほどお付き合いさせていただいていて、0の個人事業主から始めて、現在はメンバーも20数名になり順調に利益が出ています。
その裏では、戦略的かつ仕組みを作っていくことが大事です。頑張れば成功するというのであれば誰でも出来るでしょうが、やはり経営の仕組みや戦略がなければ上手くいきません。その点を深掘りしてお届けしていきます。
経営者が「エグゼタイム」に集中するためのコンサルティング
勝亦:皆さん初めまして。株式会社エグゼサポートの勝亦と申します。弊社は、この会社名自体が事業体を表しているのですが、エグゼクティブのエグゼキューションをサポートする、いわば経営者の実行をサポートしたいという思いから付けた名称です。
対象は経営者ですが、コンセプトは経営者の最も得意で利益を生む仕事をする時間、これをエグゼタイムと略していますが、この時間に集中してもらい、その他は手放して仕組化をしていただいて、事業を継続的に成長していただくためのサポートをしています。
エグゼタイムに集中してもらうための目的を手段として外注化支援や仕組化をしたり、現在はRPA自動化に取り組んだりといった手段をラインアップでサービス展開しています。
小林:勝亦さん自身の会社も仕組みを回していますし、いろんなお客様の会社に対しても仕組み経営を導入していて、ノウハウが蓄積されていらっしゃるのですね。まずは、このような事業を立ちあげられたそもそもの背景を教えていただけますか。
勝亦:僕は、とある仕事術を教えていたのですが、その術は「仕事を整理して本来やるべきじゃないことは止めましょう」というアプローチをしていました。
その方法論を伝えたいだけだったので、経営者であろうがサラリーマン、主婦、学生であろうが、対象は誰でも良かったのです。ただ、結果的に効果が出やすいのが経営者だったので、経営者に特化してビジネスとして始めようということで始めました。
「手放しましょう」と言うと、「手放した仕事はどうしたら良いのか」という話になりました。「外注化したら良いじゃないですか」と伝えると、「それが大変なんだよ」という話を聞いたので、「僕が見つけますよ」と外注先をマネジメントして、コーディネイトしていました。
それがすごく喜ばれたので、いろんな方に話をすると「ぜひやってほしい」ということで、ここに特化して外注化を支援するというビジネスの原型が出来上がりました。
実際に起業してビジネスをやり始めましたが、手放したものの外注先が自分たちと考えている方法とは違うやり方であったり、その人の価値観で進めているために結果としてよろしくない、混乱することが起こって、これが課題でした。
自分のビジネスも仕組化しながら手放していって、同じような課題感を抱えながらそれを解決していきました。そのプロセスで正弥さんとお会いして、問題解決そのものを講座型にするべきだと思い、新・講座型ビジネスに作り込んでいきました。
価値観をそのまま共有してもらって仕組化し、外注先にも同じ思いで仕事をしてもらうための仕組みづくりが必要です。
単純な外注化ではなく、やはり規模を大きくしていくにはしっかり仕組みを作って、自分不在でも成立する方法論が必要だと思いながら作った、というのが事業の背景です。
小林:なるほど。もともと外注化の方法論ありきで事業を立ちあげたわけではなくて、仕組みづくりのサポートをしている中で外注化が求められて、1つのメイン事業になっているのですね。
勝亦:ただ「止めましょう」ではなくて、あくまでも当初から「その人の得意な仕事に集中しましょう」。15年ほどやっていますが、必要に応じて求められてきたサービスが外注化であり仕組化です。課題感を解決するためのサービスですね。
お金を生む外注化こそ意味がある
小林:今は、自分たちにしか出来ないことは社内でやりつつ、小さな会社で大きな事業をやるために外注をするという方は増えてきていますよね。外注化で上手くいくところといかないところがあると思いますが、この違いについて教えていただけますか。
勝亦:外注化で失敗する傾向としては、自分が大変な仕事をとりあえずお願いして自分の時間を作ろうとする発想。外注化してコストをかけずにそれでもコストダウンさせようとする発想。これは結果的に上手くいかないですね。
僕がよく言うのは、しっかり意図を持って外注化も切り分けも行わなければならないということです。外注化のカテゴリー的には、お金を生むのか、時間を生むのか、という違いがあります。
時間を生むケースは、たとえば経理入力の仕事をSOHOサイトで依頼したり、間接業務的にお願いしたりする。これでは、いくらお願いして生産性を高めてもお金を生みません。
集客し実践をしてお客様対応をする、というお金を生むラインの中ではない部分の外注化は、それを一生懸命にコストダウンしてもお金を生みません。
上手くいく外注化とは、まさにTHE ONEでやっているようなことです。集客や営業などの重要なビジネスラインは社内でやるとしても、事業を拡大するための受け皿をいかに組み合わせて外注化するか、仕組化するかという意識です。
小林:お金を生む外注化と、単に時間だけを生む外注化で全く違うということですね。
勝亦:そこを意識していないと、安く使って不満だけが残るという感じになりますね。
小林:時間だけが出来ても事業は上手くいきませんからね。
勝亦:経営者の方の特徴は、自分の余分なことを手放して時間を生んでも、空いた時間をまた余分なことに使ってしまうことです。そこも注意しなければいけませんし、お金を生む流れに集中しなければいけません。
小林:確かに、お金を生む仕組みや流れを作らずに、ただ時間だけを作って空いた時間でゴルフに行っていたりして、半年ほど経って経営が傾いて現場に逆戻りしたり。
勝亦:意図してやっているのは良いですが、わからずにそうなるのはいけませんね。
小林:外注化や時間を生むという話をする方はいますが、お金や価値を作る仕組み作りが、実は勝亦さんが指導しているところなのですね。
勝亦:そうです。自分の提供したい価値を提供することであるし、それを外注化・仕組化するということは、自分に依存しないでそれを実現するということですから。意図や目的をはき違えると、頑張っていても報われないという結果になりがちですね。
ビジョンと現場をつなぐ仕組みをつくる
小林:まず、世の中にこのような価値を提供したい・問題解決をしたいという経営者の思いが大事であって、お金を生む仕組みにきちんとそれを落とし込めると事業が伸びていく、ということですね。
世の中に価値を提供したい思いは、そもそもある人が事業をやれば良いのか、それを明確にするために意識、指導されていることはありますか。
勝亦:思いやビジョン、ミッションという言葉がありますが、自分の思いを言える人がどのくらいいるのかという問題がありますね。特に、日本人はこれを決めるのが苦手です。
僕自身もずっと悩んでいて「悶々軍曹」と言っていたほど悩み続けたのですが、これは日本人とアメリカ人の風土の違いによるものです。
成功哲学的ビジョンは西洋から来たものです。イスラエルから始まった宗教で乾いた土地だったので、移民の国です。意思決定をするリーダーシップを取る人がいなければならず、かつ一神教なので、意思決定もしやすい風土です。
日本人は湿地で潤っているので、作物も豊富ですし別の場所に移る必要もありません。その場で一番年を取っている長老が偉くて、意思決定をしても「まあ良いんじゃない」という感じで、1つの星を目指すのが苦手なDNAなのです。
そのような人たちが、西洋から来たビジョンといったことを聞いて「うん、あるある」といいながらも実はない、ということが多いのです。
僕が指導する時には、まず「ビジョンを決めましょう」と言います。ビジョンは大事で、これを決められる方と決められない方がいます。
決められない方は、今の目の前の仕事をこなしていてどの仕事が自分にとって楽しいか、快感なのか、感情にアクセスしてもらいます。
そこで仕分けをしていって、どんどん少なくしていくと楽しいことが見つかり、その先に見えてくる楽しい世界観をビジョンとして仮決めし、細分化して仕組化していきます。
違和感が出てくればビジョンを変更していく、ということをくり返すと、どの人でもビジョンがだんだん見えてきます。
いずれにしてもビジョンは大切ですが、社長はビジョンや理念を語る。しかし、現場はそれを尋ねても覚えていない、ビジョンや理念の通りに行動出来ない、ということが日本中でたくさん起こっていると思います。
理念と現場の行動をつなげる、真ん中の一貫性を生み出す設計がないからつながらないのです。仕組みを作る上で大切なのは、この真ん中の設計がとても大事です。僕のような1人ビジネスでも大企業でも同じで肝なのです。
小林:勝亦さんは、1人ビジネスといいながらも関わっているスタッフが100人以上いらっしゃいますよね。そこがまさに仕組みといいますか、思いと現場をつないでおく仕組みを作らないと、「何かきれいなことを言っているな」と思われがちなのでしょうね。
文化的な理由で日本人はリーダーシップを取って決めることが苦手だという点は、平和な時はあまりわかりませんが、このコロナ禍のような状態ではリーダーシップの弱さが国ごとに異なりますよね。
勝亦:「何とかなるんじゃないか」という空気感が、日本人には多いのではないかと思いますね。
小林:いずれにしてもビジョンの言語化が出来る人はすぐにしたほうが良いですし、苦手な方も目の前の環境に沿ってして決めたほうが良いですね。
TTPという、設定的にまねをするのが上手に戦略的に出来るのが良いのですが、盲目的に「他で上手くいっているのをまねすれば良い」と思っている人は、全然上手くいっていないと私は思っています。
「自分でもう少し考えれば良いのに」と思うことがありますが、ビジョンがなければ軸のない経営になっていってしまいますよね。
勝亦:「仕組みもすべて一貫性だ」と僕は言っていますが、その大元はビジョンですし、自分自身の価値観や思いです。そこがぼやけてしまうと、ビジネスすべてがバラバラになってしまいますよね。
お金を生むサイクルを洗い出し、エグゼタイムを確保する
小林:仕組みや外注化の方法論の前にビジョンが大切だということ。そこからお金を生む仕組化に落とし込んでいくところで、いくつもの課題があると思います。
思いがあっても1人で頑張って疲れてしまう自営業さんや、特にフリーランスの方は多いですし、組織のメンバーであっても仕事が多いと自分だけでやっていて、人が育たずに組織が作れないということが社内でありますよね。
お金を生む仕組みを作るということで、膨大な戦略やノウハウはありますが、入口として持っておきたい考え方はどんなところでしょうか。
勝亦:意外とシンプルで、商売の基本サイクルにのっとれば良いわけです。頭で想像して、それを作って、販売して、お客様をサポートする、このラインです。
ライン(業務)を洗い出して、今売っているサービスや商品を販売するためのタスクは何か、を並べます。すると先ほど話た経理入力などは外れますよね。外注化も大事ですが、それは時間を生む外注化です。
お金を生む外注化の候補のうち、負荷が高いものや自分でやってしまっていることという重みづけをして、その上でかつ手放しやすいものか、そこに教育が必要なものか、どんどん選別していくと、自動的にラインが出てきます。
簡単なところから手放していけば、お金を使って外注化したとしても、そのラインはお金を生む外注化なので、効果は上がります。
小林:商売の基本サイクルをご存じない方は、『V字回復の経営』と検索すると出てきます。それを作っていって、基本サイクルを回すプロセスの中にある価値を生む業務を特定して、外注化出来るものを手放していくということですね。
勝亦:細分化していくと、仕組化するものと外注化するものがわかってくる一方で、自分が力を入れるべきもの、いわゆるエグゼタイムな仕事も見えてきます。手放したら余計なことをやるのではなくて、これをやると決めてエグゼタイムを増やしていくのです。
小林:それは大事ですね。私もそれは半無意識的にやっていました。お金を生むサイクルを明らかにして、経営者自身や社内が注力する仕事と外に出す仕事の仕分けも指導されているのですね。
職人気質で、ビジネスのすべてを自分でやらなければ気が済まないという方もいらっしゃいますよね。
勝亦:それが悪いわけではなくて、自分が死んでビジネスが終わりになっても良いのであれば結構ですが、「もっと広げたい」、「売上を上げたい」と思っている方がそれをやっているのはおかしくないですか、ということです。そこを少しずつ整理することをサポートしています。
小林:外注化やRPAも一方で始められているということですが、人がやらずにシステムやツールにやってもらうところも、事業化されていますね。そのあたりはどのように考えていますか。
勝亦:今はまだ立ちあげたばかりで、今後融合していくのですが、われわれのビジネスプロセスはまず、担当コンサルタントがお客様業務を整理して外注化を進めます。
本人がやらないことを外注化と呼んでいるので、社員にやらせても良いし、一般の人にやらせても良いし、自動化させても良いのです。
RPAは単純作業系のオペレーション業務なので、それでプロセスが組めれば良いですよね、という判断も行います。意思決定がいらないものはRPAで出来てしまうと思います。
小林:最近はDXとも言いますが、今やっている業務をデジタル化するのは守りのDXで、お金を生むものを仕組化するのは、ある意味でビジネスモデルを仕組化していくことなので、攻めのDXですね。
私たちも、対面でコーチングやコンサルティングをやっている方やセミナービジネス、実業をやっていてノウハウのマネタイズをしていない経営者の方に対して、教育ビジネスのDXを行っています。
無形ノウハウを仕組みに落として、高額で長期継続して収益を上げる高収益事業ですが、事業の作り方としては勝亦さんの仕組経営的なことを無意識にやっていたなと思います。
勝亦:お話を伺うと、「まさにそれです」というような仕組みづくりをされているので、僕も勉強になります。実践されてこれだけの収益を上げているというのは、なかなかありません。
全てに意図をもち意識的な経営者として生きる
小林:頑張っていても、売り上げが立たない、利益が出ない人もいます。
「そんなハードワークを良く出来ますね」と私も言われますが、7月は2週間ほど北海道にいましたし、沖縄にも行きました。もちろん一生懸命に仕事はしていますが、自由度もあります。経営もやりながら本も書きましたし、周りが言うほど忙しくありません。
周りからは「どれほど働いているか」と言われますが、もしかするとその方々は自分が隅から隅までやらないと、または労働者的にやる方だからそう見えるのかと思いましたね。
勝亦:どうやってやるのかというのは私も教えていただきたいですが、正弥さんはまさにエグゼタイムだけ仕事をしているので、楽しいから疲れないのだと思います。
私は以前から言っていることですが、ビジネスタイムが美しいのだと思います。「よくこんな設計が出来るな」というぐらいのものを作られていますね。周りの方から「大丈夫か」と聞かれながら、本人がそうでもないというのは本当なのだろうなと思いますよ。
小林:好奇心のままにやっていると、もっと事業を立ちあげてしまうので、逆に遊びを入れながら抑えているくらいの感覚ですね。勝亦さんの周りで、仕組経営的に高収益の事業を作る社長さんに共通することはありますか。
勝亦:外(お客様)に対しても中(社内組織や外注)に対しても、すべてに意図を持っていると思いますね。説明が出来る。なぜやるのか、というところにすべて意図を持っているので、その意思決定は相当に考えられている。それは共通していると思いますね。
小林:経営の仕事には、ビジョンを決めたら実現するための戦略を立てて、意思決定して、人を動かす。この3つに大別しています。
多くの方は人を動かすのではなくて自分が動いてしまっていて、戦略や意思決定に時間もエネルギーもお金も使っていないということですね。この差は広がるばかりだと思っています。
戦略を練るにも時間が必要ですし、時間をかければ良い戦略が描けるわけでもありません。そのためには情報収集が必要でお金もかかりますから、私たちも外部アドバイザーに結構お金をかけていますし、アドバイザーの見極めも必要ですね。
ジャストアイデアでいきなり上手くいくということはなくて、ありありと像が描けるまで情報を集めてシミュレーションをして、10個思い付けば1つに絞って意思決定して人を動かす、ということはこの数年意識していますね。
勝亦:意識的に生きている経営者か、ルーティン的に無意識でやっているかで違いが出ますね。無意識的に生きている方はアイデアが出ると「これはすごいアイデアだ」となりますけれども、基本的にそのようなものは似非アイデア(にせもの)なのです。
それに飛びつくか、熟成させて選ぶか。これは意識していないと絶対に出来ないはずです。無意識的にいつもやっていることをそのままやるように、行動の判断決断を何気にやっているのか、それともビジョンを元に判断決断するのか。意識の差は大きいと思います。
小林:これからお金を生む仕組みを作ろうとする経営者やリーダーに向けてメッセージをお願いします。その支援もされているので、サポートサービスについてもお話ください。
勝亦:意識することは、まずその第一歩が見える化、洗い出しだと思います。頭の中の思っていることを全部洗いだして仕分けして、何が大事なのかを整理することからだと思います。
ご自身でなさるのも良いですが、われわれが提供しているサービスで外注化支援の“あとよろ”というものがあります。そのサービスでも業務の洗い出し、分類、重みづけをさせていただいていますので、興味があればURLにアクセスしていただければ個別相談もご案内します。Web講座もありますので、ぜひご覧ください。
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