【佐藤 伝】「行動習慣」を変えれば成功できる!
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2018年12月18日、『行動習慣コンパス』著者の佐藤伝さんと、『自分を最高値で売る方法』著者の小林正弥との専門家対談が行われました。成功を掴むための「行動習慣」についてお伺いしましたので、どうぞ対談をお楽しみください。
「ひとりビジネス」と「行動習慣」の専門家 佐藤伝さんとは?
小林 : こんにちは、小林正弥です。今日は僕の出版のメンターの、累計150万部を超えるベストセラー作家、佐藤伝ちゃん先生にお越しいただきました。伝ちゃん先生、よろしくお願いします。
佐藤 : よろしくお願いします。
【佐藤伝さんプロフィール】
行動習慣・研究所 代表、国際ナイン・マトリックス協会 (iNMAX) 会長、ひとりビジネス応援塾 塾長
行動習慣を研究し、都心にて、創造学習研究所を約30年間にわたり主宰。卒業生には、政財界の著名人の子弟も多数おり、30代・40代となった彼らは各方面の第一線で活躍中。日本の朝活のパイオニアとして、15年以上実施している「プレミアム朝カフェ」は、全国からファンが集う出会いの場となっている。NHKテレビ「おはよう日本」や、雑誌「日経ビジネス アソシエ」でも、行動習慣のエキスパートとして紹介される。氏の一貫したテーマは、「習慣」であり、習慣に関する著作は、国内・外で累計150万部を突破している。ウィーン、ニューヨーク講演に続き、ミラノ、ロンドンでの講演依頼が入るなど、活躍のステージを拡大。『夢をかなえる メモの習慣』で紹介された、問題解決9マス・メモは、海外の新聞でも取り上げられ、話題となる。「なんとなくイイ気分」でいる事こそが、もっとも大事と独自の理論を展開。そのスピリットを自宅で学べる行動習慣ナビゲーター(Dream Navigator®)資格認定講座と、スキマ時間を活用して経済的自立を目指す「ひとりビジネス応援塾」は、わかりやすく具体的・実践的で即効性のある内容が評判をよび、“超”人気の学びの場となっている。「9マスを世界へ」を合い言葉に設立された、国際ナインマトリックス協会(iNMAX)の会長にも就任し、行動習慣の達人たちを、続々と輩出中。親しみやすく、謙虚な人柄から、「習慣といえば、伝ちゃん先生」と慕われている。
1958年(昭和33年)生まれ。福島県出身。明治大学卒。2男1女の父。
【ホームページ】https://satohden.com/
【ホームページ】行動習慣ナビゲーター
【著書】行動習慣コンパス
「行動習慣」の専門家になった理由とは?
小林 : まず伝ちゃん先生のご紹介をさせて頂きますが、伝ちゃん先生は“行動習慣”、“ひとりビジネス”の専門家として、著作やいろんな研修・講座を全国的に展開されていらっしゃいます。今日は伝ちゃん先生の中核である行動習慣について、お伺いしていきます。なぜ行動習慣についてお聞きしたいかというと、二つ理由があります。今僕は教育リーダーの会をやっていまして、これでみんなが直面するのが、知識を教えることはできる、しかし結果を出してもらうには目の前のお客さんに行動してもらわなくてはいけない。しかも行動を習慣化させないと結果が出ないというところが、ほぼ全ての人がぶち当たっている課題です。教える側もそうだし、学ぶ側もそうなんですが、世の中にたくさんの本やセミナーがある中で、なかなか自分の人生を変えられないのは、結局行動を習慣に落とし込めないというところがあると思います。ここを専門にしている方に、僕は今までお会いしたことがなかったので、どうすれば行動習慣を身につけて人生を変えられるのかというところを、ぜひお伺いしたいと思います。まず、伝ちゃん先生が行動習慣に着目した経緯から、お話ししていただいていいですか。
佐藤 : 実は、私は最初はあまり行動習慣を重視していませんでした。
小林 : そうなんですね。
佐藤 : 行動習慣の第一人者みたいに呼ばれていますが、最初はもっと大事なものがあると思い込んでいました。なぜ自分が最終的には習慣だというふうになったかというと、僕自身が学生時代に起業して、学習塾を始めたんですが、実は親父とけんかして仕送りが止まったんです。田舎から出てきた大学生が、バラ色のキャンパスライフを夢見て、東京に出てきたのに、親父とちょっともめて、まさか本当に仕送りが止まるとは思っていなかったんですが、甘かったですね(笑)親父も厳しい人だったので、本当に仕送りが止まってしまって、どうするんだというところから、もがき苦しんで、かっこいい言葉でいうと起業。当時は起業という言葉すらなかったですから。今から38年前、起業やひとりビジネスという言葉はなかったんです。とにかく一つの会社に入って、一生勤めあげるのが素晴らしいという時代でした。転職したと言ったら、それは恥。今は転職を繰り返して、自分のキャリアをアップグレードしていきますが、38年前はそんな時代です。
そこから学習塾を始めて、結果30年やりました。学習塾をやる中で、最初は勉強が大事だと思って、一生懸命勉強を教えていました。そこで私自身が、教え子たちのビフォーアフターを如実に見たというか、目の当たりにしました。「この子がこうなっちゃうんだ」とか、「全然勉強できなかったのにすごいな」とか。逆に、「きみ、あんなに勉強できたのに、どうしたんだ?」という子もいるわけです。この差は何なんだ、と思ったときに、「習慣」なんだと気が付きました。習慣こそが人生の織物なんだ、一番大事なのは習慣なんだと。昔はテストの点数を上げて、ということをやっていたんですが、そんなことよりももっと大事なのは習慣でした。
小林 : 人が幸せに成功していくということを、30年単位で追いかけていったときに、習慣だったと気付かれたのですね?
お釈迦さまが、修行の中で一番大事にしたこと!
佐藤 : そうです。なのに習慣をちゃんと教える人がいない。僕の大好きな話があるんですが、今から2600年前に、釈迦牟尼ブッダが35歳のとき、12月8日の朝、菩提樹の下で悟りを開くわけです。その悟りを伝えていくわけですが、その中で10人の弟子が育っていきます。その中で、「お釈迦さま、私たちは一生懸命勉強していますが、この修行の中で一番大事なことは何でしょう?」といういい質問をした弟子がいます。そのときにお釈迦さまは、何と言ったか。「それはただ一つ、続けることだよ」と。1日だけすごいことをしても、1日だけ早起きしたり、1日だけ勉強してみたり、1時間何かしたとしても、一瞬のことでは駄目なんだと。コツコツ続けることが、一番大切だと。これは深いな、と思いました。続けるということは、習慣にしなさいと言っているわけです。
“人は30歳を過ぎると、習慣だけが残る”という西洋のことわざがありますが、そんな気がしませんか?結局、その人はどんな人だったかというと、習慣ですよね。正弥くんは若いから、結婚式で呼ばれることが、これから多くなっていくと思いますが、私ぐらいの年になってくると、結婚式よりお葬式のほうが多くなっていきます。お葬式のときにみんなが語っているのは、その人の習慣なんです。
小林 : お葬式で習慣を語るんですか?
佐藤 : 「いつも遅れてくる人だったよね」とか、「小さい約束をするけど、全然守らない人だったよね」とか、その人の習慣です(笑)結局習慣をみんな語るんです。その人の人生というのは、その人の習慣そのものです。
より幸せに成功していくための行動習慣を身につける前に
小林 : 習慣には、いい習慣もあれば悪い習慣もあると思いますが、なかなか人は変えられないというか、伝ちゃん先生のように、ずっと自分を成長させ続ける人もいれば、悪いほうの習慣で身を亡ぼす人もいますよね。どっちも頑張ってはいると思うんですが、どうしたら、より幸せに成功していくための行動習慣というものが、身についていくんですか。
佐藤 : すごくいい質問であると同時に、深い質問です。いい習慣をつけて、悪い習慣を減らしたいと、誰でも頭では思っていますよね。なぜそれがなかなかできないかというと、自分の心の奥底で、そういう自分が好きなんです。例えば「私の人生、苦労ばっかりなんです」と言う人がいたとしますが、それは私に言わせると、「それは、あなたが苦労が好きだからです」。いつも私は泣いてる人生です、いつも失恋してます、いつも仕事がうまくいかなくて、くそぉと思ってます。でもそういう人は、泣いてる自分が私らしいと思っているんです。プンプン怒ってるのが自分らしいと思っているんです。悪い結果が出たときに、心のどこかでほっとしている自分がいるんです。やっぱりな、と。それはまるで、馬券を買って、「くそぉ!また外れた!」と言ってる人に似ていて、心のどこかで「やっぱり外れた、今回も」。外れるのは自分らしい。とんでもない万馬券が当たるはずはない。宝くじを買って、ドキドキしながら見てもらって、「残念でした」と言われてトボトボ帰るその道すがら、「やっぱりな」とほっとしてる自分がいる。
小林 : なんか分かる気がします。
佐藤 : 分かりますか。自分で勝手に決めたセルフイメージがあって、それを書き換えない限り、悪い習慣を続けてしまうんです。
小林 : なるほど。人は悪い習慣をやめて、いい習慣を取り入れたら、人生が変わると思っているけど、習慣だけに焦点を当てても駄目なんですね。
佐藤 : 人は0歳から15歳までの間に、人生脚本という、「私ってこういう人間だ」というのを勝手につくりあげるんです。例えば自己紹介のときに、「私って、恥ずかしがり屋です」とか言うじゃないですか。それって、誰が決めたの?(笑)中学3年生ぐらいまでの間に、「私はこういう人間だ」「僕はこういう人間だ」というのを、決めてしまうんです。親から言われたり、先生から言われたり、友達から言われることも影響しますが、例えば親から、「お前は人より3倍努力しないと駄目な人間だ」と言われると、親はそうしてほしいと思って親心で言うんですが、小さい子にはそれが潜在意識に入ってしまって、「そうか、私は3倍努力しなきゃいけないんだ」というのが人生脚本としてできあがってしまう。恐ろしいことに、15歳以降は自分が15歳までにつくった人生脚本を強化するだけなんです。トレースするだけ。「やっぱりなぁ、俺はこうだよ」「やっぱり私は恥ずかしがり屋なんだ」。さっきの例で言うと、「お前は3倍努力しないと駄目なんだ」と言われると、「3倍やらなきゃいけないんだ」と思って、いろんな教材を3倍買って、いろんなセミナー3倍行って、というふうになります。
小林 : 努力が目的になってしまって、その努力の先の果実を得る前に、ずっと努力し続ける人生みたいになってしまうんですね。
佐藤 : そうです。「なんで私、努力ばかりしてるんだろう」。でも、努力してる自分が、自分らしいなと思ってほっとしてる自分もいて、努力し続けない自分は、自分らしくないと思ってしまう。つまり、受け取ることができない人ってすごく多くて、「これ、あげます」と言ったときに、「もらえません。ただでなんて、もらえません」と言う人がいますが、かと思えば、「ラッキー!いいんですか!もらいます」と受け取る人もいますよね。この差です。
小林 : 中3までの人生脚本、そのときまでの自分らしさ、脚本をなぞるように、16歳以降は人生が決まってしまうということですね。
佐藤 : 決まってしまう、あなたは変わりません、THE ENDと言われたら、いやいや、変わりたいので、方法論を教えてくださいと思いますよね?実は、変える方法が一つだけ方法があります。自分という人間が、0歳から15歳まで、どんな人生を送ったかを振り返って、自分史を書くことです。
小林 : 自分史を書くということですか?
佐藤 : 0歳から15歳まで、自分はどういう人間だったのか、どういう育てられ方をしたのか。あのとき近所のおばさんから、こう言われたことを今でも夢に見るとか。あの事件がすごく気になってるとか。あの出来事は、自分にとってうれしい出来事だったとか。こんなことをしたら、めちゃくちゃ褒められたとか。
子どものときに褒められたことって、実はすごく影響します。そのときの喜びを、人は大人になってもまた味わおうとするんです。なので、例えば近所に障害のある子がいて、その子のランドセルを持ってあげて、一緒に学校に登校したらみんなから褒められたとか、そのおうちのご両親が「いつもありがとう」と言ってアメをくれたとか、そういう何気ないことが、その後の人生にめちゃくちゃ影響します。そういう人は気が付くとボランティア活動をしています。そういう人を“ボランティア渡り鳥”といいますが、いろんなところでボランティア活動をして、「私はいい人」みたいな自己満足をします。だから、15歳までのことを詳細に、分厚い大学ノートを全部埋める感じです。
自分史を書くポイントとは?
小林 : その自分史を書くにあたってのポイントは、褒められてうれしかったこと、快の感情をいっぱい書いていくんですか?
佐藤 : 快の感情と、不快な感情。快と不快と分けて、「このとき、すごくうれしかったなぁ」「この一言が、本当に嫌だった」とか。これは心理学的にも言われてることですが、「お前なんか、橋の下から拾ってきたんだ」という親が、昭和の時代には結構平気でいました。もちろんブラックジョークではありますが、小さい子にとっては衝撃的な一言なんです。自分って、本当の子どもじゃなかったんだ。橋の下に捨てられてたんだ。本当の両親は自分を捨てたんだってことになりますよね。さらに拾ってくれた、この育ての親に気に入られるようにしなくてはならないと思う。そうすると、親に気に入られるような人生を歩まなくてはいけなくなってしまうんですよ。
こないだテレビに出たときに、明石家さんまさんの楽屋が隣だったので、伝ちゃん語録“サワズー精神”、さわやかなずうずうしさで、コンコンってノックしてみたら、たまたまマネージャーさんがいなくて本人が1人だったんです。「今日、よろしくお願いします」みたいなとこから、えらく話が盛り上がって、「昔からそんな面白かったんですか」って言ったら、「いや、俺は継母に育てられたから、面白い話してみろと言われて、面白くないとご飯を食べさせてもらえなかったんだ。地獄のような幼少時代だったんだぜ」みたいな話をされていました。
小林 : 人を笑わせることが生きる術というわけですね。
佐藤 : 自分はご飯を食べるために、継母を笑わせて、「面白かったから、今日はおかず一品つけてやるわ」みたいな、それで自分の笑いは育てられたと。今では感謝してると言ってましたけど、誰にでも歴史はありますよね。
小林 : 自分史を書いて、どういうときに快の気持ちだったか、不快の気持ちだったかが分かったとして、そこからどうしていったらいいんですか。明石家さんまさんのように、人を笑わせることが才能になって活躍する人もいれば、自分なんて駄目なんだと思って、豊かさを受け取れない人生になってる人もいるじゃないですか。そこはどうやれば変えられるんですか。
お金に関する小さい頃のエピソードが今にも影響を与えている
佐藤 : まず自分史を書くことで、自分の原点に戻るというか、自分と向き合う。このときこういうことがあったから、今こうなんだ、と。具体的に僕の話をすると、お年玉をもらうことがすごくうれしくて。子どもって何回も数えたりするじゃないですか?それで夜数えてたら、めちゃくちゃ怒られたことがありました。お金を何回も数えるなと。お金って、誰が触ったか分からないんだから汚い、今すぐ石けんで手を洗ってこいと言われた。それで、お金って汚いんだっていうことが、ドーンと入った。それから数えてることをすごく怒られて、「お金ばかり数えてると、お金で仕事をするような人間になってしまうぞ」と言われたんです。お金がいっぱいもらえるから、こっちの仕事をやる。もらえなかったらやらない、みたいな。仕事はお金じゃないんだと言われて、お金を数えることをすごく怒られたことで、僕はその後大人になってから経理業務が苦手になってしまいました。
領収書を整理したり、小銭が合うまで計算したり、そういうことがなんだか嫌で。振り返ったときに、あの怒られたあれがあってから、「お金を数えちゃいけないんだ」という間違った思い込みがドーンと潜在意識に入ってしまったんだということに気付いて、「そうなんだ」と。この5文字、“そ・う・な・ん・だ”がマジックワードです。そうなんだ、とまるごと受け入れることで、そこから卒業できるんです。まずはそれを認めないといけない。みんな認めたくないんですけどね。「いやいや、私は愛情いっぱいに育てられて、なんの問題もありません」と思いたいけど、なんの問題もない人なんていないわけです。肉体を持ってこの世にいる以上、今世でいろいろ経験するために来ているわけです。
自分の幼少期の嫌だったこと、あまり思い出したくないですよね。輝かしい未来に向かって、いい習慣を積み重ねていくんだって思いたいかもしれないけど、いい習慣とか悪い習慣という以前に、もっと自分のことを見なければいけない。習慣のことをいろいろ言う前に、前段階があるよという話です。
小林 : その人のいい習慣も悪い習慣も、作っているのは15歳までの人生脚本、そこでつくられたセルフイメージ。「自分ってこういう人間なんだ」と、そこをなぞるような習慣が無意識的に形成されていて、それを抜けるには、まず気付いてあげる。「そうなんだ」と思ったら卒業できるということですね。
自分史を書くにあたり行くべき場所とは?
佐藤 : あまり見たくないけど、そこをちゃんと一回見ることです。小さかったときのことは、あまり思い出したくないかもしれないけど、頭の中で思い出すと、都合のいいことしか思い出さないんです。というのは、本当に嫌なことを、人間はふたをしてしまっているので、昔育った場所や家、そこは取り壊されてないかもしれないけど、そこに行ってみることも大事です。田舎で育った人は、その田舎に行ってみる。独特の空気感、その場のエネルギーというのがあるので、きれいなホテルの一室で、「さあ、思い出すぞ」といっても、また違うんですよね。
小林 : 確かに自分の故郷に戻ると、フラッシュバックしてくるものがありますよね。
佐藤 : 「お前なんか出ていけ!」と言われて、夜中に出ていって「ああ、この松の木の下で泣いたなぁ」とか思い出します。夏の夜だったけど、やぶ蚊が血を吸ってるのが分かって、子どもながらに吸われるがままにしていたことも、ありありと思い出します。そのときの寂しさや、真っ暗だったこと、「ごめんなさい」と言って帰ればいいのに帰れなくて、神社の周りをグルグル回ったこと。家々にオレンジ色の電気がついているのを見ると、「いいなあ、あそこでは家族団らんでやっているんだろうな」と思ったりして、そうするとそのときの猛烈な寂しさを思い出して、この寂しさを埋めようとして、自分はこういうことで頑張ってきたんだなという辻褄が、パズルが埋まっていくように全部合うんですよね。寂しさを埋めなくていいんだ、と思えるとそこからまた変わる。
気づくだけで習慣も変わる!
小林 : 習慣も変わっていくんですか?
佐藤 : 変わるんですよ。小さい頃の「何かを埋めなきゃいけない」と思っているその感情。例えば、お母さんの乳首を十分に吸えなかった人は、たばこを吸うんです。これはちゃんと統計的に分かっていて、母乳をたっぷり吸って育った子は、たばこを吸おうという気持ちにならないんです。ところが早く断乳させられたり、お母さんが栄養状態が悪かったり、病気がちだったりと諸事情で、お母さんのおっぱいを存分に吸えなかった寂しさがあると、たばこがやめられない。頭の中で、「たばこは悪いから、悪い習慣はやめましょう」といくら言っても、「21日間やめたら、継続できますよ」と言われても、そのおおもとに母親のおっぱいを十分に吸えなかったという寂しさがあると、ロジカルになんとかしようとしても無理なんです。その寂しさは強いんです。もし何とかやめられたとしても、それを埋めようとして、今度はたばこ以外の嗜好品に変わっていくだけなんです。
小林 : その元を卒業しないといけないんですね。
佐藤 : おじいちゃん、おばあちゃんがご存命な方は、「どんな子どもだったの?」「僕はなんていって育てられたの?」ということを、いっぱい聞いたほうがいいです。コミュニケーションにもなりますから。おじいちゃん、おばあちゃんは聞いてもらうのがうれしいから、「自分の子ども時代のことを聞かせてくれないかな?」と言ったら、「おお、いいよいいよ。いつでも話すからおいで」と絶対言うと思いますよ。
小林 : 目の前の習慣、たばこをやめようとしても難しいけど、その根底にある、15歳までにつくられたものと、もう一回つながって卒業すると、別に頑張らなくてもうまくいくということですね。
佐藤 : あんなに頑張ってもうまくいかなかったのに、びっくりするほど簡単にできます。楽々成功して、楽々ハッピーになってる人って、世の中にたくさんいるじゃないですか。
小林 : むしろ、うまくいってる人って、頑張ってないですよね。
佐藤 : 楽だから楽しい、楽しいから楽という善循環スパイラルに入ってる。でも逆に、何やっても苦労してるという人もいますよね。それは15歳までの人生脚本に、非常に大きなウェイトがあるということです。そこをまとめると、自分史をしっかり書いて向き合おうということです。
習慣の三つの要素とは?
小林 : 今僕も受講していますが、伝ちゃん先生の、“行動習慣認定講座”。行動習慣というもののプログラムを体系化されてますが、なぜそれをつくったのか、どういうものなのかを教えていただけますか。
佐藤 : 習慣というのは、三つの要素の複合体です。一つが、「感情習慣」、心の習慣。二つ目が、「思考習慣」、頭の習慣。プラス思考とかマイナス思考って聞いたことがあると思いますけど、頭の中であれこれ考える習慣です。三つ目が、「行動習慣」。習慣とは何かというと、この三つの癖です。自分にはどういう感情のスイッチが入る癖があるのか。いつも「ちぇっ」と言ってる人、すぐむかつく人、いますよね。それはむかつく癖があるからです。思考についても、マイナス思考をしてしまう頭の回路の癖がある。行動にしても、すぐやる人もいれば、なかなか行動に移せない人もいる。結局それは長年自分が培ってきた癖です。習慣と一言でいっても、三つの方向からのアプローチが必要だということです。
小林 : どれか1個だけ変えようと思っても、なかなか変わらないというわけですね。
佐藤 : 難しいです。行動習慣だけを、「明日から早起きして走るぞ!」といっても、それを支えている感情習慣や思考習慣があるので、なかなか難しいわけです。
小林 : 感情習慣、思考習慣、行動習慣のベースが、人生脚本の中でできあがっているんですね。
佐藤 : そうなんです。みんな外に答えを求めようとしますが、答えはあなたの中にしかない。だから生まれたときから15歳まで、どういう人生だったのかを追究します。これを聞いてる人たちはレベルの高い人たちだと思うので、これを話してもあまり驚かず「そうか」と受け入れてもらえると思いますが、アメリカの最新の研究で、「どういう生まれ方をした人が、どういう死に方をするか」ということを、何十万人も追跡調査した結果があります。これがすごく恐ろしくて、よくそんなことまで調べるなという研究です。
なかなか子どもが生まれないときの最後の手段で、鉗子分娩といって、ペンチのお化けみたいなやつで、胎児の頭を挟んで引っ張り出す手法があります。出てくるのに時間がかかると脳が酸欠になって、障害のある子が生まれてしまうので、無理やり引っ張り出さないといけないんですね。それで、拳銃自殺をしている人がどういう生まれ方をしたかを、さかのぼって調べたら、ほとんどがその鉗子分娩だったんです。他にも首を吊って死んだ人がどういう生まれ方をしたかをさかのぼったら、へその緒がぐるぐるに巻き付いて、それを取るのに大変だったという記録が出てきてます。
「幸せ」や「成功」を自分に許していますか?
佐藤 : 習慣の話から、今すごく深い話になっていってますが、いわゆるバーストラウマ、どういう生まれ方をしているかって、非常に大事なんです。大変難産で、なかなか生まれない、そういうときには、赤ちゃんなんだけど「うう、苦しい。早くこの苦しみから逃れたい」というトラウマを負って生まれてきてるわけです。自分がどういった生まれ方をしたのかを、母親によく聞いてみることが大事です。誕生日というのは、母親に感謝する日ですよね。生んでくれてありがとう、と。「この子は要らない」と母親が思っていたら、生まれてないわけですから。そうか、自分はそんな大変な思いをして生まれたのかと思ったら、まず「そうなんだ」と認め、自分自身に「大丈夫だよ」と、幸せになることを許す、成功することを許す、自分で自分を許すことが大事です。ほとんどの人は、成功する自分を許してないんです。人間にとって最大の恐怖は、成功への恐怖だ、とよく聞きませんか。
小林 : はい、聞きますね。
佐藤 : 「大成功したい」とみんなよく言うけど、「大成功ってどれぐらい?」と具体的に聞くと、あまり答えられない。あんまりお金が入ってきても怖いと思うんです。頭では成功したいと言いながら、心では「いやいや、普通でいいんだ」とブレーキをかけてる。それだと進むはずもない。進まないどころか、車でアクセルとブレーキをずっと踏んでたらどうなりますか。
小林 : 故障しますよね。
佐藤 : 人間の場合は病気になるわけです。自分の本音と建前がずれたままでいると、それがすごくストレスになる。がんも、結局ミスコピーですから。細胞がコピーされていくときに、ミスコピーされたものが悪性腫瘍。がんが生まれるということは、ミスコピーが起きている。なぜミスコピーが生まれるかというと、一番はストレスです。「いい習慣をつけていいんだよ。成功していいんだよ。幸せになっていいんだよ。楽々成功してもいいんだよ」と、自分を許すということです。どこかで、「楽々成功しちゃいかん。涙の後にしか笑顔がない」と思っている人が多い。そうすると、辛い人生を送ります。習慣どころの騒ぎではありません。
小林 : “行動習慣ナビゲーター”のトレーニングを受けると、幸せに成功していく習慣も形成できるし、人の習慣形成も手伝えるようになるということですね。
佐藤 : そうです。人の幸せが自分の幸せになる。人の喜びを自分の喜びにできる人が、本当に成長していける人です。「人を応援すると、結局自分が応援されるんだ」という、それを習慣を通して実践していく。そうすると、「なんだ、この世はパラダイスじゃないか」。いわゆるキリスト教でいう天国、仏教でいう極楽は、別の世界じゃなくて、今この目の前にある。死んでから素晴らしい世界に行くわけではなくて、地獄も天国も極楽も、生きている人間の心のあり様を表現しているものです。「大好きです!」って言われたら、「やった!」という天国状態だし、「大好きって言われた。イエーイ!」って言いながら、アクセル踏みすぎて、交差点で事故ったら、その瞬間地獄ですよね。天国にいるのも地獄にいるのも、自分で選択している。何が自分のシナリオを決めているのかというと、それがズバリ気分なんです。
小林 : 「気分」ですか?
なんとなくいい気分
佐藤 : なかなか親も教師も言ってくれないことだけど、嫌な気分でいるときは、嫌なシナリオに乗っていき、いい気分でいるときは、いいシナリオに乗っていく。この辺のことは、量子力学の話になっていきます。
小林 : いい習慣のナビゲーションの一つは、なんとなくいい気分というのを、自分の中で意識的に持つことによって、実際にそれが現実化していくということですね。
佐藤 : そうです。「なんとなく」というのが一番大切です。「理由もなく」ということです。ほとんどの人は、プレゼントをもらったらいい気分、褒めてもらったらいい気分という、条件付きのいい気分の人生を送っているけど、無条件にいい気分というのが大事です。「今、どんな気分?」と自分に問うのが、最高の習慣だと思います。
小林 : 自分の気分を問う習慣ですか?。
佐藤 : 今、どう?正弥くん、どんな気分ですか?
小林 : なんとなくいい気分(笑)
佐藤 : いいですね(笑)僕に聞いてください。
小林 : 伝ちゃん先生、今、どういう気分ですか。
佐藤 : なんとなくいい気分ですね!これです。理由もないけどいい気分。タクシーに乗ったときに、「最近どうですか」って聞くじゃないですか。そうするとみんな予定調和で、「いやあ、なんか不景気で、なんか駄目ですね」「ぼちぼちですね」とか。マイナスのことを言うと、同意してもらいやすいんです。人は共鳴が欲しいために、「調子悪くて」「昨日、全然寝てなくて」とか、悪いことを返答しがちですが、タクシーの運転手さんに「どうですか、最近は」と言われたら、「なんとなくいい気分ですね」と言える自分になっていてほしい。そう言われたら、「どういうことですか、それ」と、なんとなくいい気分だと言う人に、人は関心を持つんです。そういう人と一緒にいたいと思いませんか。
小林 : 思いますね。
佐藤 : めちゃくちゃ文句を言ってる人と、一緒にいたいとは思わないんですね。だから、「なんとなくいい気分ですよ」と言っていれば、どんどん仕事も来るんです。
小林 : 最強の習慣ですね。
三方良しになる「なんとなくいい気分」の習慣
佐藤 : 結論言っちゃってますけど、困っている会社が会議をしても、結論なんか出ません。思考すればするほど、思考というのはマイナスに行きます。「大変だ、このままでは我が社はつぶれてしまう」となったときに、「誰かに相談してみよう」となる。誰に相談するかというと、「なんとなくいい気分だと言って、いつも笑顔でいる伝ちゃんに相談してみよう」ということで、上場企業でさえ、困ったら私に相談が来るわけです。それは私が「なんとなくいい気分」と言いまくってるからです。そうすると、僕の手に負えないものは、他の人に紹介してあげればいいわけで、1人でしょい込む必要はないんです。紹介してもらった人は、「docomoの案件、回してくれていいんですか?!」とめちゃくちゃ喜ぶ。そうすると3人がトリプルウィン、三方良し。紹介された人は、ますます何かお礼をしたくなるという、まさに善循環スパイラルです。
学校の先生に挨拶に行こう!
佐藤 : とりあえずまずは休みを利用して、じっくり自分史を書いてみるということを、強くお勧めします。
小林 : これから自分の人生をよりよくしていきたいと思っている人がこの音声を聞いてると思いますが、特別なラグジュアリーなホテルとかではなく、自分が15歳までつくられたところに行って、そのときのイメージの中で自分史を書くというのが一つ。
佐藤 : あとは学校の先生とかに、皆さん、あいさつに行きましょう。小学校の低学年の頃の私は、どうだったですかと。ある生徒さんがそれを実践したら、なんと幼稚園の先生が、「あんたは、嘘ばっかりついてたね」と言われたそうです。「それ、詳しく教えてください」と言ったら、幼稚園の先生の気を引こうとして、明らかに嘘だと分かる嘘、「うち、また車を買ったんだ。2台も買ったんだ」と、いわゆる作り話をする子だったというのを聞いて、自分は先生に気に入られたかったんだ、寂しかったんだということが分かったんです。あとは、「でもその作り話が、とっても上手でね」と言われたときに、自分は創作活動をしようと思って、彼、実は小説の分野で成功しています。作り話ばかりしてたけど、その作り話は本当に上手だった。だからつい先生たちも、聞き入ってしまった。
小林 : どう使うかで全然違うんですね。
佐藤 : 必ず物事には二面性があるので、作り話をするということを悪く見ると嘘つきですが、別の面から見ると、ものすごくクリエイティブな人間になる。それを生かして、推理小説の部門ですごく成功してます。恐れずに自分の過去と向き合うのは、とてもいいことです。人にインタビューしたり、自分が小さい頃に連れていってもらった思い出の旅館に行ってみたり、学校をめぐってみるのもいいです。「ここの卒業生です」と言えば、そんなに邪険にされないと思います。手土産でも持って、「お世話になりました」って行ったら、「ああ、卒業生なんだ。わざわざ来てくれてありがとう」と言われると思います。なので、恐れずに自分の過去と向き合ってみることです。
小林 : 深いテーマですね。
佐藤 : 何か参考になるものが一つでもあれば、とてもうれしいです。
小林 : ありがとうございます。今日は150万部のベストセラー作家の佐藤伝ちゃん先生に、行動習慣についてインタビューしました。僕は当初、習慣って頑張れば変えられるものだと思っていたんですが、なかなか変えられるものではないです。その原因というものを、今日いろいろと多重的に学ばせていただきました。自分の人生を変えたり、人の人生を変えていくには、習慣が鍵です。ぜひ伝ちゃん先生の“行動習慣ナビゲーター”というオンラインの養成プログラムがありますので、僕も学んでいますが、興味のある方は学んでみてはいかがでしょうか。今日はありがとうございました。
佐藤 : ありがとうございました。
「行動習慣ナビゲーター」について、
詳しく知りたい方は、こちらからご覧ください。