【奈美 バーデン・河合 克仁】世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業

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2018年11月6日、『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』著者の奈美バーデンさん・河合克仁さんと、『自分を最高値で売る方法』著者の小林正弥との著者対談が行われました。世界中の経営者やリーダーの方が学ぶ「心」の授業についてお伺いしましたので、どうぞ対談をお楽しみください。


【奈美バーデンさんプロフィール】

長崎県佐世保市生まれ。
父の転勤で鳥取、横浜、沖縄、新潟、北海道、長崎、東京などを転々とする。プロのバレエダンサーになることを目指し、17歳の時にモナコのプリンセスグレースバレエアカデミーに留学。高校卒業後、パリの日仏芸術舞踊学校にバレエ留学。しかし20歳で人生の方向転換を決意し、大学に進学。アメリカのウェスタンニューメキシコ大学、セントラルフロリダ大学を経て、コロラド州のフォートルイス大学ビジネス専攻を主席で卒業。卒業後は東京の外資系企業で働き、その後ハワイのリテール企業に就職。結婚と出産を得て今に至る。

ハワイ州不動産売買ライセンスを取得。夫の投資系会社と不動産会社の業務を手伝う傍ら、ワンワールドアカデミーのトランスフォーマー(メディテーション&WISDOM講師)として2015年から2018年まで活動をする。2018年にセミナー講師&個人カウンセラーとして独立。世界各地で「意識的(コンシャス)に生きる方法」を広めるべく、セミナー活動に励む一方、個人カウンセリングも随時行っている。クライアントには、企業経営者、大学講師、弁護士、医療関係者、教育関係者、投資家、スポーツ選手、芸術家などのプロフェッショナルから、主婦や学生、病院の患者、米国刑務所服役囚など、多種多様のバックグラウンドの人々を含む。それぞれの国の文化の違いも踏まえ、ニーズに合ったセミナーやカウンセリングをし、それぞれのプロフェッショナルな分野で活躍する人々のために、「こころ」のサポートを行っている。

【ホームページ】https://namibarden.wordpress.com/

【著書】『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』


【河合克仁さんプロフィール】

株式会社アクティビスタ 代表取締役社長
国立大学法人 筑波大学 非常勤講師(キャリアデザイン担当)
地域活性化伝道師 内閣府地方創生推進事務所曲局より拝命

1982年生まれ。愛知県豊橋市出身。時習館高等学校から筑波大学体育専門学群へ進学。陸上競技からアイススケート部(スピードスケート)へ転身し、キャプテンを務め、国体へ出場。全国国公立大学対抗戦では総合優勝を果たす。卒業後、人材教育コンサルティング会社へ就職。第二創業期だった社内で頭角を現し、5件の新規契約を50週連続という、現在でも破られない実績を打ち立てる。

2014年に独立し、2015年に株式会社アクティビスタを設立。”みらいをつくるきょういく”をテーマに、人材採用と育成支援というテーマで、子供から経営者まで幅広い層を対象にした事業を展開。現在、筑波大学にて、キャリアデザイン担当の非常勤講師、内閣府、地方創生推進事務局拝命の地域活性化伝道師も務める。

【ホームページ】http://activista.co.jp/

【著書】『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業 』


小林 : こんにちは、教育スクールビジネス研究所の小林正弥です。今日は専門家著者対談ということで、『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』を出版される奈美バーデンさんと河合克仁さんに、お話を伺っていきます。おかげさまで僕の著書、『自分を最高値で売る方法』が、今1万部ぐらい広がっていまして、この本をきっかけに、普段なかなかお話を聞けない専門家のお二人にインタビューしていきたいと思います。

2018年2月に、僕は河合さんと奈美さんのご紹介で、インドのメディテーションやリーダーシップを学ぶ研修に9日間行ってきました。ここを境に、僕のビジネスもプライベートもすごく良くなっていきました。僕がそう思っているだけではなくて、僕のことを何年も知っている友人やクライアントさんにも、インド前とインド後でまったく別のようになったと言われます。仕事もおかげさまで、今期最高益を更新していますし、今年9月に結婚もしまして、公私ともにハッピーで、2018年は自分の夢以上のことが実現できたと思っています。そのきっかけをつくってくださったお二人に、感謝を込めていろいろ聞いていきたいと思います。まずお二人がどんな活動をされているか、そしてなぜこの本を出版されようと思ったのかを、お伺いしてもよろしいですか。

『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』著者河合克仁さんとは?

河合 : 河合克仁と申します。よろしくお願いします。現在、教育のコンサルティングを行う都内の会社を経営しながら、母校の筑波大学では、学生向けのキャリア教育の非常勤講師をしています。地方創生というキーワードでは、内閣府のお仕事も一部お手伝いさせていただいたり、教育を軸にしたビジネスを展開しています。奈美さんは、僕の妻の友人だったというご縁でして、今までは95パーセントが国内の仕事だったのですが、今年1年を振り返っても、ドバイからスタートして、インドに行って、シリコンバレーも2回行って、来月はカンボジアで“東南アジアのシリコンバレーをつくる”ことをされている方々や、金融機関の視察にも行かせていただいたり、世界に広がったご縁をつくってくださったのが奈美さんです。インドで学んできた“心の学び”を中心に、インドだけではなくて、スタンフォード大学の中にも心を学ぶ施設をつくったり、Googleやグローバル企業が心の学びをしていることを、日本のリーダーの方々にも届けられたらいいなと思って、奈美さんと一緒に本を出す運びとなりました。

『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』著者の奈美バーデンさんとは?

奈美 : 奈美バーデンです。よろしくお願いします。ハワイ在住ですが、今は河合さんと、東京や日本全国で活動を始めています。普段は主人の不動産会社の手伝いをするかたわら、マインドフルネスビジネス講師として、個人カウンセリングをしたり、セミナー講師をしたり、活動を広げております。

世界中の億万長者は、なぜ「心」にたどりつくのか?

小林 : こちら『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』は、いつ出る予定ですか。

河合 : 2018年12月4日です。

小林 : 僕もインドに行ったときに、世界中の億万長者や、日本から行っている錚々たる名経営者の人たちと一緒に、心の授業を受けました。なぜそういう人たちが“心”というものにたどりつくのでしょうか。

奈美 : シンプルに言うと、心の状態というのは二つしかなくて、苦悩の状態と美しい状態なんですね。苦悩の状態では、いろいろなネガティブな感情が表れやすい。例えば、怒り、悲しみ、嫉妬の心。そういう感情が出る苦悩の心に対して、そうではないものは美しい心の状態で、例えば幸せを感じたり、感謝の心が出てきたり、平穏を感じる。そういう二つの心の状態しかありません。苦悩の状態では、頭がごちゃごちゃしていて、思考が頭の中にいっぱいあって、そこからは衝動的な行動しか出ません。それに比べて美しい心の状態では、頭がクリアで、何をすべきかがはっきり分かって、そこから出る考えにはクリエイティビティがあります。苦悩の状態では、衝動的な行動しか出なかったのに対して、美しい心の状態では、判断が早くできて、素晴らしい結果を出すことができます。経営者の方や、プロフェッショナルとして活躍する人というのは、いかにクリアな状態で決断を出すことが大事であるかを痛感しているはずです。ごちゃごちゃした頭で、頑張って苦しんで到達したゴールというのは、今の時間を生きていないので、幸せを感じることができません。なので、美しい心の状態になる方法を知りたいということで、皆さん学校に来られます。

ハワイの投資事業から心の授業への道

小林 : 奈美さんの個人的なお話も聞きたいと思います。ハワイで投資事業で成功されていらっしゃったと思いますが、なぜ心の授業にたどりついて、そこからどういうふうに変わっていったんでしょうか。

奈美 : きっかけは、主人がアンソニー・ロビンズのプラチナメンバーとして旅行していたときなんですが・・・そこのメンバーの一人が、ワンネスグループという良い経営者のことをやっているということで行ってみたと。そこで今を生きる大切さを学んで、翌年に姉妹校のワンワールドアカデミーに行かないかということで、私を連れて行ってくれて、そこで学びました。

心の授業を受けて~奈美さんのケース~

小林 : それを受ける前と後では、ご自身の人生や夫婦関係は変わりましたか。

奈美 : すごく変わりました。今まで自分は幸せに生きているほうだと思っていましたが、ちょっとしたイライラや口喧嘩が日常にありました。例えば、主人と私が口論をする。大喧嘩ではなくて、本当に些細なもの。ちょっと言い方がきつかったとか。昔はそれにグサッときた瞬間などがありましたが、四つのステップで自分のことをもっと知ることによって、スッと美しい心の状態になることができると、夫婦関係も素晴らしいものになっていきます。そういう方法を小さいところでやることで、大きな問題、例えば経営上、大金をなくしてしまいそうになるとか、プロジェクトがうまくいかないという極地に立たされたときに、心の対応の仕方が分かるようになります。美しい心の状態に直す方法を知っておくと、まずそれをしてから決断をくだすという選択肢ができます。そういう意味で、私たちの経営もうまくいってますし、夫婦関係もほっこりとしています。

河合 : 去年、ご家族で世界一周をされてましたね。

奈美 : 半周で終わりましたが(笑)

小林 : どれぐらい旅行されてたんですか。

奈美 : 7カ月行きました。「一周するぞ!」と思っていたんですが、「それってあんまり大事じゃないよね」ということに気が付きました。土地をしょっちゅう変えていると、ジプシーの生活で、あまりハッピーになれない自分に気が付きました。自分の好きな場所に行って、そこで子どもたちを教育して、友達を増やして、お稽古事もそこでして、というのが理想です。

心の授業を受けて~河合さんのケース~

小林 : 河合さんは、心の授業をやる前と後では、どういう変化がありましたか。

河合 : 一言でいうならば、今に集中できる時間がすごく増えたと思います。僕は今、6歳の娘がいますが、仕事をして夕方になってくると、娘のことを思い出しながら仕事をして、週末になったらまた翌週の仕事のことを考えて、というように逆のことがよくありました。でも、仕事のときは仕事に集中しよう、週末は家族と過ごして、その時そこにちゃんといよう、という風に変わってきました。日本のトップのビジネスマンの方でも、海外の方でも共通しているなと思うのは、情報がたくさんあり過ぎるということです。スマホに、1日100数回の通知が来る。夜の時間も、10回も20回も来る。そういう集中しづらい状況になっていると思うと、47パーセントぐらいしか今に集中できていません。半分ぐらいの時間は、未来や過去のことに気が散っている。100パーセント、目の前のことに集中して取り組んでいくほうが、クリアな状態で判断できるようになり、そうなってからは、より自然体で過ごせるようになりました。自然体でいられると自分も楽ですし、かつ得られる成果というか、声をかけたりしてもらうことが増えていってるのは、不思議だなと思います。

小林 : 僕も結構逆で、仕事をしているときは「夜、何、食べようかな?」と考えて、ごはんを食べているときは、仕事のことを考えて(笑)

奈美 : やっぱりそこが意識的に生きるということに、つながっていくんですよね。意識的になると、「あ、ちゃんと今にいなきゃ」と戻ることができる。その意識の勉強です。

挑戦している方、一見成功しているけど苦しい経営者へ

小林 : 本の内容に入っていきますが、この本はどういう人のために書いた本ですか。

河合 : 挑戦している人たちに、届けられたらいいなと思っています。もちろん挑戦しない人というのはいないと思いますが、挑戦すればするほどいろんな課題も気になると思います。最近、身の回りで活躍されている経営者の方が、ハードワークで急に体調崩されたりというケースが、この数年で何人かいらっしゃって。家族ぐるみでお付き合いさせていただいてる方だと、奥様やお子様の顔が思い浮かぶので、挑戦している方こそ、心のケアを学んでほしいなと思います。偉大な経営者の方であればあるほど、ご自身のスタイルを持っていらっしゃったりして、それは瞑想だったり、リラックスした休暇であったり、いろいろありますが、日本のビジネスマンはあまりそういうことをオープンに言わないように思います。海外の方々のほうが、よく自分のやってることを口にします。特に日本のビジネスマンの方々に届けて、チャレンジをよりよい状態でしていってもらえる機会になれたらいいなと思っています。

奈美 : 私のところにカウンセリングを求めて来られる経営者の方に多いのは、外から見ると成功している方なんですが、お金もあって、何千人も社員がいて、奥さんもいて、子どもさんもいて、だけれども自分は苦しいと言います。苦しみながら成功を収めている。それはどこから来るのかというと、やっぱり苦悩の心の状態で、頭がごちゃごちゃした状態で、理想像にしがみつきながら頑張ってきたから苦しい。この状態でいくら成功を収めても、幸せを感じることはありません。これをちゃんと解消してあげて、美しい心の状態に戻ったら、そこではじめて幸せがほっこりと出てきます。それを教えると、彼らは学ぶのも早いですから、「あ、こういうことですか」という感じで、目からうろこで自分のことを知ることができるようになる。そういうお手伝いをさせていただいてます。物質的なもので自分の幸せを埋めようとするのではなく、あるいは幸せをそこに求めるのではなく、まずは心に何が欠けているのかに目を落とすのが心の授業です。

「もっと欲しい」感情と付き合っていく方法

小林 : 僕はまだ成功という状況ではないですが、今年仕事がすごくうまくいきました。ここまでの山を登りたいと思って、そこに自分なりにたどりつきましたが、もう足りない感じが出てきています。隣を見ると、もっと高い山を登っている人がいる、こっちにはもっとすごい山がある。自分が目指した山に一瞬たどりついてハッピーだったんですが、もう足りない感じが出てきています。こういう人たちって多いのではないかと思いますが、いかがでしょう。

奈美 : 多いですね。そのことは、今回の本にも書いてます。どうやって「もっと欲しい」という感情と付き合っていくのか、ということです。簡単にいうと、結局自分の心の状態がどちらにあるかということが大事なんですね。例えば美しい心の状態から「もっと、もっと」と求めるのはいいことです。クリアな状態で、こういうビジョンがあって、幸せな家庭を築いて、たくさんの従業員と従業員の家族を養って、もっと幸せな企業をつくり、もっと幸せな家庭をつくり、少し大きな家があればもっと快適に過ごせるとか、オンボロなアパートじゃなくてもうちょっと素敵な家に住めば、もっと快適に過ごせるという思いから、“もっと”を求めるのはすごくいいことです。なぜなら、そこにビジョンがあって、周りの人と共感しながら楽しんで生きることができるから。その目標に向かっていくときも、楽しいはずなんです。なかなかうまくいかなくても、次のチャンスがあるかなってことで、また自分でビジョン設定をして、みんなを巻き込んでいくことができる。

悪いのは、苦悩の意識状態になっているままで、このビジョン設定をしていたらどうかということです。例えば、もうすでに自分の心の中に欠けているものがある、何か寂しさを持っている。あるいは僕はこういう成功した人になりたいという理想像持っていて、それが現実とギャップがあると、それを埋めるために頑張ってお金を稼ごうとする。あるいはかっこいい男になるために、女の人といっぱいお付き合いしたり、自分の足りない部分をそういうことで満たそうとする。だけど実際満たしてみても、そこに幸せはないんです。なぜなら理想像を完璧にしようと頑張っているからです。だからそれをやめること。

どうやってやめるかというと、今回の本のコアになっている四つのステップで、自分の何が欠けているのか、何を追い求めているのかという、自分の理想像を見つけることです。「なんてばかばかしいんだ」ということにすぐ気付き、パッと放すことができます。目標を設定している、あるいは他人と比べている自分を見たときに、自分はどちらの心の状態なのか。ほとんどの場合は、苦悩の状態なので、そのことに気が付くべきなんです。

苦悩の状態から美しい心になる4つのステップ

小林 : さっそくその四つのステップを教えてもらってもいいですか。

奈美 : 自分の心がイライラした瞬間とか、カチンと来た瞬間とか、ちょっと切れた瞬間、あとなんとなくモヤモヤして晴れない状態、そういう状態を自分でキャッチするのが一つです。自分の心の状態が、苦悩の状態になってしまってます。美しい心の状態ではないということに気付くのが大事です。簡単ですね。

小林 : 僕の苦悩の状態について、話していいですか(笑)ちょうど昨日、妻とランチに行ったんですが、店員さんがレジを打ち間違えてしまって。僕はSuicaで払ったんですが、低い金額で決済してしまったらしく、追加900円ということで、僕が「900円払います」と言ったら、それはできないと言われて、「どうしたらいいですか」と言うと、決済した分を現金で返すので、もう一回払ってくださいということでした。そこはスープがメインの店だったんですが、そのやりとりだけで数分かかってしまって、僕はスープが冷めていくのが気になるし、早くスープ飲みたいし、次の予定まで15分しかなかったし、温かいスープをサッと飲みたかったんですが、店員さんの態度もふてぶてしく見えてきて、イラついてきました。苦悩の状態に気付くというのは、そういうときに、イライラしたことに気付くということですか?

奈美 : その瞬間気付かなくても、あとでそのことを思ったときに、「あのとき、俺、イライラしてたな」と、リフレクションといいますが自分を内観して気付くことが大事です。それでファーストステップクリアです。

小林 : なるほど。では次は?

奈美 : 次のステップでは、頭の中にグルグル回る思考をキャッチする。あるいは思考を15個ぐらい挙げていく。苦悩の心の状態になると、人の頭の中にはゴーストのようにグルグルと何か言ってる言葉があって、その言葉が出たり消えたりします。そういうふうに、思考がグルグル回っている状態が苦悩の心の状態なので、“何を言ってるんだろう”ということに集中していきます。

小林 : 僕の頭の中で、“スープが冷めちゃう”とか、“次の予定に遅れちゃう”とか。

奈美 : まったくそのとおりです。そのように、会話調でよいので、どんどん挙げていきます。

小林 : スープが冷めちゃう。次の予定に遅れちゃう。そっちがミスったのになんで謝らないんだ。後ろで待ってる人がいて、そっちの人にも悪いなあ。

奈美 : まだ四つなので、それを15個挙げてください。

小林 : 大事に扱われてない。僕はあんまり現金を持ちたくないタイプなので、小銭を増やしたくないなあ。向こうがプンスカしていたので、馬鹿にされているのかなあ。

奈美 : あと8個。このぐらいになると、ないなあと思いますが、そこで絞り出すように他には何があるだろうと。目を閉じると、結構そのゴーストを探すことができます。

小林 : おなか空いたなあ。「そんなんできないんですよ」という言い方がぶっきらぼう。次のアポイントの人を待たせたら、悪いなあ。妻も待っていたので、彼女にも悪いなあ。ちょうど胃腸炎だったので、胃が痛いなあ。それが不安で、食べるとまたおなか痛くなっちゃうかなあ。またカードをいちいち出すのは、面倒くさいなあ。あと、とにかく面倒くさい。

奈美 : できました、15個です。ステップ2はそれで終わりです。一つ一つの思考に、“こんなこと言って恥ずかしい”とか思わずに、どんどん挙げていくことが大事です。ステップ3に行きます。ここでは苦悩の真実を知るということです。結局人というのは、誰かから何かをされたから、自分が苦悩をしていると思いがちです。今の例で言うと、そのレジの人が間違ったから僕は苦悩なんだ、と思いがちですが、これはただのきっかけにすぎない。なぜならば、まったく同じシチュエーションにいるはずの人が、全然怒らずにボーっと待って、なんとも思わない人もいるんです。それはなぜなのか。その原因は、本当はここ(自分の胸を指して)にあるんですよ、ということに気付いていく。どうすれば、ここにある何かが見つかるのか、ということですが、そこではやらなきゃいけないことが二つあります。

一つは、先程出した15個の思考が、どのぐらいの割合で自分を中心にした「アイ・コンシャス」の状態で出ているか。つまり、自分が中心にした意識で出てきているかということです。例えば、世界が周りにあって、自分と世界の周りのものというのは、隔たりがあって別物だという状態なので、この状態からは、相手のことを罵ったり、責めたり、相手が変わればいいと、相手に指をさしている状態か、もしくは自分のことを指さして“自分、自分”と言ってます。自分のもの、自分の経歴、自分の時間がないとか、“Me、Me”と言ってる状態が、アイ・コンシャスという自分中心の状態です。それを踏まえると、先ほどの15個の思考能力のうち、何パーセントが自分中心のアイ・コンシャスの状態だったでしょうか。

小林 : 全部です。

奈美 : そうですね、100パーセントです。相手に対して、早くしてよとか、自分の時間がないとか、僕のスープが冷めちゃう、僕の胃腸も駄目かなとか、自分のことを考えている。奥さんに悪いなと思っているのも、相手のことを思っているのと同時に、自分のことをちょっと憐れに思っている。なぜなら、自分の奥さんがかわいそうだと思っているから。ということで、100パーセントに近いですね。それでOKです。もう一つ大切なことがあって、ここがキーポイントですが、苦悩の状態になるのは、必ず自分の中に理想像があるということです。じゃあ、自分はどんな理想の人になりたかったかということを探していきます。どうだと思いますか?

小林 : 次の予定に、時間をちゃんと守れる人でありたいとか。丁寧に大切に扱われたい。自分の時間を無駄にしたくない。

奈美 : 私には二つ見えます。一つは、自分の時間を大切にしてほしいということですね。どんな理想像かというと、多分小林さんの中には理想のイメージがあって、尊敬される人とか、大事な人とか、価値のある人みたいな理想像があると思います。どうでしょうか。

小林 : ありますね。

奈美 : それが本当に大事だと思っている場合には、それを侵されるようなことをされた瞬間に怒りの感情が出てくる。だからそういうときには、気付いてあげる。その人に対して、「俺が偉い」と言うべきかどうか、ということなんです。そこでリリースしてあげることが大事です。もう一つ見えるのは、遅れちゃったら相手に悪いな、という心がありましたね。あるいは奥さんに対して、待たせちゃったら悪いな、という心がありましたね。それを踏まえると、どんな理想像でしょうか。どんな人になりたいと思ってますか。待たせない人?いい人?

小林 : いい人ですね、はい(笑)

奈美 : そう、いい人になりたい(笑)普段、いい人になりたいと思うのは、いいことなんです。だけれども、どの場面でもいい人になることは、人はできないので、どう考えても分かってないレジの人に対して、自分はいい人でなければいけないということを、とりあえずやめるということです。それがステップ3です。

小林 : 三番目は、自分の理想を見つける。

奈美 : その理想像にしがみついたときに、自分が苦悩の状態になるので。

小林 : それに気付くということ。

奈美 : そうです。ステップ4は、今なんとなくクリアになって、スッと美しい心の状態になっているということなので、ここの場面から、衝動的な行動ではなくて、では正しい行動は何だろうと考える。衝動的な行動であれば、怒った口調でその人にキレていたかもしれない。

小林 : キレてましたよ(笑)

奈美 : 今なんとなくしがみついていた理想像が二つありましたが、分かった時点でここを手放してあげるのがまず一つ。レジの人に対して、「僕って大事でしょ」と言う必要はありますか。

小林 : ないです。

奈美 : しょうがないですよね、こういうことが分からない人もいる、新入社員もいる。ここで「俺って偉いだろ」とやる必要はないですよね。あとはクリアなマインドで、どうすればいいのかというのはご自身で決められるはずです。例えば、いい人になりたいと思っているけど、その場で流した後にメールで、「ちょっとこの人、時間がかかりそうだから」ということもできるし、あるいはクリアなマインドであれば、「ちょっとできそうになかったら、マネージャー呼んできてください」と頼むこともできる。何にしがみついているのかが分かると、次同じようなことがあったときに、ブワッとなったときに、「僕、また同じパターンに陥ってないかな?」ということに気が付いていくことができます。

小林 : もう一度整理します。四つのステップというのは、一つ目が自分に気付く。

奈美 : 自分の心の状態が、苦悩の心の状態になってしまっていることに気付く。

小林 : 二つ目は?

奈美 : 頭の中にある思考を15個挙げていく。

小林 : 15個挙げるということで、一回立ち止まれるのもいいですね。三つ目は?

奈美 : その思考のどのぐらいの割合がアイ・コンシャス、自分中心の考え方から来ているものかということを認めてあげる。90-100パーセントがアイ・コンシャスの言葉です。

小林 : 自分の中にある理想とのギャップで、それが生じるということですか。

奈美 : そうです。理想像にしがみついていて、それとのギャップが現実で起こると、そこでネガティブな感情が自然に生まれるということです。まず五感を通して思考が生まれます。明らかにこの人がこういうことをしている、僕は遅れる。そうすると、明らかに自分はいい人になれない。あるいは、この人が明らかに僕を邪険に扱っている、僕は偉い人って思われてないじゃん、という二つのものがあいまって、五感を通して感じられた瞬間に、いろんな思考がパッと出てくる。その思考が出てくると同時に、感情というものが自然と出てくる、そういうことです。

小林 : 四つ目は?

奈美 : 理想像が分かった時点で、スッとこちらに戻るので、戻ったところで、“正しい行動は何だろう”と考える。

小林 : その四つのステップを踏まえると、苦悩の心から美しい心の状態に行けて、建設的な思考や行動が取れる。今回はスープの例になりましたが、これは夫婦関係にしても、仕事上の重要な意思決定にしても、いろんなところで起こってますよね。

奈美 : 毎日の生活の中で、会社でも家庭でも起こり得るものですよね。

小林 : みんなが美しい心になれたら、どれだけ平和、幸せ感が増えるかと考えると、この本の意味というのは大きいですね。

奈美 : そうですね。こんなに簡単に、私でもできるということに感動して、河合さんに「どうですか」とお尋ねしたら、「とにかく来てください」ということで、今回皆さんと一緒にインドに行って、その流れで本を出すことができました。これを皆さんに届けられると本当にうれしいです。

美しい心を保つための習慣とは

小林 : 僕の普段の幸せな状態というのは、幸福感が上がったなというのと同時に、インドで美しい心の状態で定めた自分の目標、成功の状態というのが、インドに行って半年ぐらいですが、その目標の達成のスピードが超早かったです。目標を定めて、一個ずつクリアしたというよりは、ほぼ自動的にエレベーターでワープしたような。僕は、パートナーと結婚するとか、事業でこれだけの収益を達成するとか、本を出してたくさんの人に届けるとか、大きく三つインドで定めたんですが、インドの後、どれもエレベーターのように達成できました。それは、なぜでしょう?

奈美 : それは多分、小林さんが毎日されていたことだと思います。インドで学んできたメディテーションを取る時間、自分の心と向き合う時間に、忠実に毎日やってきた。心の設定をちゃんと定めて、そこで確認して、自分の心が美しい心の状態になったということを確認した上での意思決定をずっと貫いてきたから、楽に生きることができるんですね。ちゃんと毎日されてましたもんね。

小林 : 毎朝10分ぐらいの瞑想の中で、まず自分の心を整えて、そこから自分が実現したいものを描きました。毎朝瞑想をやってますが、「この人に連絡を取ろう」とか、自分からアクションを起こさなくても、向こうからチャンスがやってきたり、今までだったら乗ってた話に、「あ、これは違うな」と断ることができたり、理想に対する取捨選択と引き寄せのスピードがものすごく加速していきました。

奈美 : 美しい心の状態から一日をスタートすることで、何が必要なのか、必要でないのかということまではっきりと分かるから、不必要なことをしなくて済む。ごちゃごちゃした状態であれば、選択が分からないし、前が見えないから、もがくように選択肢をつかんでいく。そうすると、どこに行けばいいのか分からないまま、結局はあまりいい結果が出ません。しかも自分は苦しいという負のループにはまる。だからこそ、メディテーションを通して、自分の心をリセットしてからということを、経営者の方におすすめしています。

今後の活動やビジョンについて

小林 : 詳しくは、『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』、これが12月4日に発売されるので、ぜひ読んでいただきたいと思います。この本以外に、お二人でいろんな活動をされていくと思いますが、今後の活動やビジョンについても教えてください。

河合 : 本に関しては、どんな方にも届けやすい内容だと思いますし、それをシンプルに実践してもらえれば、あまり難しいことは書いてないので、十分力になれると思っています。それをさらにスピードを高めていったり、インドで10日間の時間を過ごす3人だからこそ感じられると思いますが、ああいった空気感の中で自分と向き合う時間は、日常生活の中で持ちづらいと思うので、先ほどお話をした挑戦をされているような方々同士で、悩みを分かち合ったり、挑戦や成功を分かち合えるコミュニティや学ぶ場をつくっていきたいと思っています。よりそういったことを実践して、その実践を形にしていかれるようなリーダーの方々に対して、リアルな学びの場もつくっていきたいと思っています。逆にそれをいろんな方々に届けていくという部分においては、小林さんにも相談しながら、どういうふうに広げていけばいいのかということも考えていきたいと思っています。

小林 : 僕の周りの人たちは、奈美さんのYouTubeの瞑想を見ていて、この数カ月再生回数がかなり上がっていると思います。特に自分で仕事している人は上司がいないので、ずれていても、誰にもずれていると言ってもらえないし、立場的にリーダーだと、部下の人たちは本当は違うと思っていても、関係性上言えなかったりで、ずれているけど裸の王様みたいになっている。病気になってからはじめて気付くとか、仕事でクラッシュしてから気付くとか、そういうことを未然に防げますね。あと、成功や幸せというのが多様化してきている中で、自分の成功や幸せを見つけていくのも、この心の授業が大事だと思うので、いろんな人たちが定期的に学べる場があるとすごくいいと思います。

比較の中で幸せを感じている人へ

小林 : 最後にお二人から一言ずつ。皆さん人には言えない苦悩や課題を抱えながら生きてると思いますので、一言メッセージをいただけますか。

奈美 : 悩みがあるというのは、抑えてきたものがキャパシティーを超えて出てきている状態なので、悩みと感じてない人でも、ちょっとイライラした瞬間、ちょっとキレた瞬間、どうでもいいことだけど心がモヤモヤしているとか、Facebookを見て、ちょっとイライラとしていいねを押してる瞬間とか、そういう瞬間をまずとらえて、自分が苦悩の状態に陥ってるということに気付くというのが、まず一つ。それに気付いたら、この本を読んでいただいて、一体自分はどのケースなんだろうと。いろんな例題が入ってますので、どこかにフィットするものがあるはずです。なのでぜひ読んでください。

河合 : 最後、自分自身の心だけは騙せないですし、自分だけは分かっていると思います。どうしても情報がたくさんあるので、比較の中での幸せ、比較の中での成功ということで、自分の中の軸がないとそうなりがちです。でも僕もいろんな方にインタビューさせてもらいながら、誰から見ても成功している人であったとしても、世界で一番かというとそうではなかったり、世界で一番のランキングそのものも毎年変わるので、こうなったら成功で心の安泰ということはないのかなと思っています。今どのポジションにいるかではなく、自分の中での成功や幸せ、クリアな中で出てくる、自分にとってこんなふうになっていきたいということを定めて、そこに向けて挑戦していく。でも一筋縄ではいかないと思いますから、そのときに四つのステップを使いながら、クリアな状態での理想を目指していく、そんなきっかけやお手伝いができたらうれしいなと思っています。

小林 : こちらの本を、ぜひお読みいただければと思います。僕もこの本をたくさんの人に広めていきたいと思います。心の授業や学びをやる仲間が、たくさん増えていけばいいなと思います。今日はどうもありがとうございました。

奈美 : ありがとうございました。

河合 : ありがとうございました。

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